◇ラプンツェルと助け舟 ページ24
一瞬、話が逸れてラッキーだと思ったけれど
直後に松葉杖の事聞かれたらどうしよう、って思って。
でも声のした方を見たらそんな不安は無くなって
寧ろ助け舟が来たって思って、内心ホッとしてしまった。
「と、トビタカ…!」
「飛鷹さん…」
トビタカは少し困り顔になりながらも私達の方に歩み寄る。
トビタカは唯一私の事情を知ってる(というか話しちゃった)人。
だから一緒に誤魔化してくれないかなって。
協力してくれないかなって思った。
……あ、でも別に病院に通う事を口止めしたワケではないから……普通に話しちゃうかも。
うぅ…こうなったらもう、私の病気の事が広まる覚悟でトラマルにも話すしか……
「彼女の様子が可笑しいんですよ。
なんか、後ろに松葉杖も隠してますし…
何処か具合が悪かったり……」
「ちっ、違うもん!コレ松葉杖じゃないもん!!
コレは……コレは、その……ほら、アレ!アレだよっ!」
「……アレ?」
「……」
「あ、アレだよ、アレ……
とにかく、松葉杖じゃなくって……」
私はどうしてこう、フドウみたいに上手い嘘が吐けないんだろう。
今だけウソツキのオオカミのように嘘を吐きたかった。
そろそろ限界になって来てしまって、私は思わずトビタカの方を見て、目で助けを求めた。
するとトビタカはトラマルの方を見てから、私の方を見て。少しの間考えるように眉間にシワを寄せると
ふと、トビタカは思い出したかのようにトラマルに尋ねた。
「…それより、帰らなくていいのか?
こんな所で話してないで」
「…!そ、そうですね……帰りが遅くなっちゃうとちょっと……」
「じゃあ帰った方がいいんじゃないか?
その……遅くなったら困るんだろう?」
「は、はい!……でも、彼女……」
「話は俺が聞いておくから。
遅くなる前に帰りな」
「…わかりました。では、お先に失礼します!」
どうなるかとハラハラしていたけれど、トラマルはどうやらあまり時間を取られたくないらしかった。
トビタカに言われてようやくトラマルは帰る気になると、最後に私とトビタカに丁寧にお辞儀をしてから階段を降りて帰って行った。
そうしてトラマルの姿が見えなくなると
私は知らず知らずの内に入っていた肩の力を抜いて、胸を撫で下ろした。
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*IJu*(プロフ) - みづきちさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けてるようで良かったです( ˇωˇ ) (2020年11月5日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
みづきち(プロフ) - 尊い、、、ありがたや(拝) (2020年11月4日 22時) (レス) id: 1fec416d23 (このIDを非表示/違反報告)
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