◇ラプンツェルとハルナ ページ2
「手伝ってくれるのは嬉しいんだけど……お兄ちゃん、練習で疲れてるでしょ?無理はしないで」
練習後の片付けを手伝うって言ってくれたキドウ。
疲れているはずなのに、手伝ってくれるなんて。
キドウもやっぱり優しい人。
でもハルナの言う通り、あんまり無理はしないでほしいな……練習だってハードだったし、そうでなくてもあの監督の言い方は聞いてて疲れちゃうから。
「それにボールならもう拾い終わったから、お手伝いはもういらないよキドウ」
「む、そうか……少し遅かったか」
「いーからお兄ちゃんは食堂に行ってて!
あとは私達で倉庫に運ぶだけ……」
ハルナはキドウの背中を押して、くるりとキドウを方向転換。
宿舎の方に向かせて、ハルナはおもむろに自分のジャージのポケットに手を突っ込んだ。
だが不意にハルナの動きが止まるとジャージのポケットに更に深く手を突っ込み、もう片方のポケットにも突っ込み。
そうして少し慌てた様子で顔を上げると、ハルナは声を上げた。
「ああ!倉庫のカギ貰うの忘れてた〜〜!!」
……ハルナちゃん、しっかりしたお姉さんだと思っていたけれど…意外と抜けてる所もあったり?
どうやら倉庫のカギを忘れちゃったみたい。
これじゃあボールを仕舞えないよね。
「カギ取りに行ってくるから、Aさん、ちょっと待ってて!」
「あ…うん、わかった…」
「すぐ取ってくるから〜〜!!」
言うが早いか、ハルナは踵を返してダッシュで宿舎の方へと向かい、倉庫のカギを取りに行った。
その勢いに圧倒され、私は少しの間呆然としちゃったけれど、ふと隣を向くとキドウも同じようにハルナの行った後を眺めていた。
ただ、その横顔はとっても優しかった。
「…相変わらず忙しないヤツだ」
「でも元気があって良いよね。とっても素敵」
「ありがとう。俺の自慢の妹だ」
……キドウってハルナの事、大切に思っているんだろうな。
心做しか、その声も柔らかくなった気がした。
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*IJu*(プロフ) - みづきちさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けてるようで良かったです( ˇωˇ ) (2020年11月5日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
みづきち(プロフ) - 尊い、、、ありがたや(拝) (2020年11月4日 22時) (レス) id: 1fec416d23 (このIDを非表示/違反報告)
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