【イナイレ】シッカーラプンツェル5【不動明王】 (ページ8)

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◇ラプンツェルは許したページ8

そのまま、まるで糸が切れたお人形のように力無く倒れてしまったサクマ。

私は駆け寄ろうとしたけれど、直後に痛む私の足。
さっきシュートを打ち返した方の足だ。
禁断技の影響が足に来てしまっていた。

でもそんなのに構ってなんかいられない。
私はその足を引き摺るように駆け寄り、倒れ込むようにサクマの元で膝をついた。

「佐久間…佐久間っ！」

ゲンダも心配だったからか、私より先にサクマの元に来ていて、彼は痛む身体に鞭打ってサクマの身体を抱き起こす。

そうして何度も、何度もサクマの名前を連呼する。

その時のゲンダはもう試合の時の怖いゲンダではなく
私が大好きな、優しいゲンダの瞳をしていた。

サクマは目をつぶったまま動かない。何にも言わない。ﾋﾟｸﾘとも動かない。

まるで……そう、まるで……毒林檎を齧って、眠りに堕ちたお姫様のように。

「サクマ……？サクマ、大丈夫…？い、生きてる……よね？起きて……ねぇ、起きてサクマ……！」

嫌な予感が頭を過ぎる。

私はサクマの手を掴んで、私も思わず語り掛ける。

サクマの大きな手はまだあたたかい……
それによく見たら、胸が微かに上下に動いていた。

息をしてる、って事は……生きてる、って事だよね。

だとしたら身体が微塵も動かないのは……やっぱり禁断技の影響なのかな……

「………A………？」

「…！」

ふと、か細い声がサクマの口から漏れる。

私は目を見開くとサクマは薄く目を開けて、目だけ私の方を見遣る。

そうして私の大好きな、弱々しくも優しい笑みを浮かべると、1つ息を吐いてから言葉を続けた。

「……A……お腹、大丈夫か……？
悪かったな……蹴ってしまって」

「ううん…！ううん！大丈夫！大丈夫だよ！
もう痛くないよ！苦しくないよ！」

「本当に、悪かった……お前が悲しむのを、分かっていたのに……こんな事に、なって……しまって」

「いいの…いいの！全部許すよ！
優しいサクマに戻ったのなら、全部全部許すから…！」

私はサクマの手を握りながら、首を横にﾌﾞﾝﾌﾞﾝ振った。

視界が滲む。ﾎﾟﾛﾎﾟﾛと涙が止まらない。

だって、だってやっと2人が戻ったから……

優しい2人に戻ったから。
大好きな2人に戻ったから。

ああ、でもこんな所で泣いちゃったから。
サクマ、悲しそうな顔してる。困ってる。

慌てて涙を腕で拭うけど、あとからどんどん溢れて止まらなかった。