◇ラプンツェルの涙 ページ22
私の病気を治す手術には凄い額のお金が必要だったみたいで、2人はそのお金を稼ぐ為に休まず働いていたみたい。
そのせいで私に面会に来る暇が無かったんだって。
手紙とかも書く暇が無かったんだって。
そこら辺は2人も自分で自分を「バカ」とか「アホ」とか「頭が足りない」とか言ってたけれど、お休みの日とかは疲れて休んでたんだろうなぁ。
だって一日中働いてたって言ってたから。
でもまだ手術費用、貯まってなかったんだって。
なのにどうして私は手術を受けられたのか。
「鬼道財閥の人が半分出して下さったのよ」
「き……どぉ……？」
「何でもAに助けられたとかで、ほんの御礼の気持ちだとか。A、いなくなっていた間に一体何があったんだ…？」
聞き覚えのある名前だった。
キドウ、って……あのキドウ？
サクマとゲンダが話してた、あのキドウ？
キドウってお坊ちゃまだったんだ。
御礼、って……何の？
もしかして真・帝国学園での事？
だとしたら、アレは夢ではなかったんだ。
私は確かにライモンと闘ったんだ。
……そうして、酷い事しちゃったんだ。
潜水艦での出来事もそうなると現実だよね。
サクマとゲンダが変になったのも、あの中でサッカーやったのも、タカナシ達に会ったのも。
全部全部、本当の事なんだ。
夢なんかじゃないんだ。
「(夢じゃ……ないんだ)」
「とにかく、これからは一緒にいられるからね。
今まで本当にごめんなさい、1人で寂しい想いをさせて……」
ぼんやり思い出していると、お母さんはそう言いながらまた涙を流した。
折角泣き止んで来たのに……
それに謝らなくてもいいのに。
確かに何も言わないで置いてったのは正直怒ってたけれど、2人に会えたらもうどうでもよくなった。
それに私、手術したんだよね？
つまり、私の病気はもう無くなったんだよね？
治ったって事だよね？
その事実が1番、嬉しかった。
もう病院に縛られなくていいんだって。
これからは外に出てもいいんだって。
もう1人でいなくてもいいんだって。
「でもまだ暫くはリハビリとかあるみたいだから…」
「大丈夫！今度はちゃんとお見舞い来るからな！」
「それに話したい事もいっぱいあるのよ！
Aの話も沢山聞きたいし……これから沢山聞かせてね？」
「………うん」
話している内に、2人の涙が移っちゃったみたい。
気付けば私は涙を流していて
2人は何も言わずに、暫く私の傍にいてくれた。
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