◇ラプンツェルの苛立ち ページ16
「………そうか」
私が散々吐き出すと、フドウはﾎﾟﾂﾘと呟いた。
私はいっぱいいっぱい酷い事を言ったのに。
フドウはその一言だけ。
それがまた腹が立って、ムカついた。
……何なの。何なの。澄ましちゃって。
言いたい事あるなら言えばいいのに。
さっきみたいに意地悪な言葉で返せばいいのに。
どうして黙ってるの？
どうしてこっちを向いてくれないの？
どうして何にも言わないの？
どうして否定しないの？
こんな事でイライラしちゃう自分もワケがわからなかった。
ただ、どうしようもなくこの時は自分を止められなくて。そのせいで感情が昂り過ぎたのかな。
収まりかけていた発作がまた始まって、息がだんだんとしづらくなって来てしまった。
私は悟られないようにしたけれど、無理だった。
下手くそな呼吸で必死に酸素を求めるけれど、その内普通に座るのもままならなくなってしまう。
そんな状態じゃさ、すぐ近くにいるフドウは気付いちゃうよね。
フドウ、私の異変にすぐ気付いて今更こっちの方を向くと「おい」だとか「大丈夫か？」とか言ってくるの。
でも背中を摩ろうとしたフドウの手を反射的に私は引っぱたくと、フドウは驚いた顔をして私を見た。
どうして、どうしてそんな顔するんだろう。
どうして私の心配をするの？
こんな風にしたのはフドウなんだよ。
フドウが私にエイリア石をくれたりなんかしたから。
それなのに、今更そんな優しい言葉かけてきて。
そんな、心配してるような顔してさ。
フドウは私が嫌いじゃないの？嫌いなんでしょう？
だったら放って置けばいいのに。
変にお人好しなのはフドウの方だよ。
「心配、するっ…ふりは、しないでっ…
今まで、私を……助けて、くれなかったクセにっ…！」
「…！」
ああ、もう。私もこんな時に何を言ってるんだろう。
病気の事でもがいてはいたけれど、誰かに助けを求めた事なんて無かったのに。
完全なる逆恨み。もうイライラした感情をそれっぽく形にしてぶつけてるだけ。
でも優しいフドウは本気で受け止めてくれたのかな。
苦虫を噛み潰したような顔をして私から目をそらした。
ごめんね、フドウ。本当にごめんなさい。
私、フドウの事は大好きなの。本当だよ。
だけど、やっぱり、サクマとゲンダにした事は許せないみたい。
ライモンにした事も許せないみたい。
……だから、私なりに仕返しをしてあげるね。
今までの分も。
これからやるはずだった分も。
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