◇ラプンツェルは押し付ける ページ15
「………全部、アナタのせいだ」
言ってからすぐ私に背中を向けるフドウ。
意地悪なその背中に、私はそう吐き捨てる。
振り返ろうとはしなかったものの、優しい彼はその場に佇んだまま、黙って私の言葉を聞いていた。
「みんなが危険な目に合ったのも、ライモンのみんなを苦しめたのも。
…………サクマがああなったのも、全部全部アナタのせいだ！！」
理不尽な苛立ちをぶつける子供のように。
ただ私は彼のせいだと。
こんな事になったのはお前のせいだと吐き続ける。
脳裏に浮かぶのは、ﾎﾞﾛﾎﾞﾛになって倒れたサクマの姿。
彼に促されるまま、禁断技を3回も打った結果だ。
あんな姿、見たくなかった。
それで悲しむゲンダの姿も、見たくなかった。
思い出したら涙がまた滲んで来て、私は彼に気付かれる前に腕で拭った。
彼は相変わらず動こうとせず、何も言おうとせず
ただ私の話に耳を傾けてくれていた。
「アナタがサクマやゲンダを巻き込まなければ…！あんな事にはならなかったのに………！！」
「……」
「アナタが望んでいたのはアレだったの？！
あんな試合を…アナタは望んでいたの…？
……ねぇ、黙ってないで何とか言ったらどうなの！」
本当はこんな事言いたくなかった。
彼は彼なりに私を良くしてくれていた。
とても優しくて、あたたかくて、色々と教えてくれたのに。
さっきの狂気にも似た試合を思い出すと。
サクマとゲンダが壊れる姿を思い出すと。
私がライモンの人達にした仕打ちを考えると。
怖くて、怖くて、怖くて。
あの中に自分が関わっていると思いたくなくて。
自分は確かに被害者だって。
誰かのせいにしたくて。
ｸﾞｯﾁｬｸﾞﾁｬの醜い感情を、私はめいっぱい彼にぶつけてしまった。
「……なんで、何も言わないの？」
「…」
「何か言ってよ…！いつもみたいに反応してよ！
自分の都合の悪い時ばっかりそうやって…！」
「……」
「っ……」
私はまだ幼かった。
だから彼の気持ちまでは全く理解出来なくて。
空想は得意なのに、想像はてんで出来なくて。
「…アナタなんか、信用しなければ良かった」
「…！」
この時の私は気付いていなかったんだ。
私がこうして取り乱しているように
彼も彼なりに虚しさを感じている事に。
彼も彼なりに、傷付いている事に。
「＿＿�爛侫疋Ν瓩覆鵑�、信じなければ良かった」
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