【イナイレ】シッカーラプンツェル5【不動明王】 (ページ13)

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◇ラプンツェルは背負われるページ13

「ち、ちょっとフドウっ…？！」

「うっせーな、少し黙ってろ！
落ちないようちゃんと掴まってろよ！」

急にどうしたのか聞こうとしただけなのに、またフドウに怒られた。

ちょっとﾑｯとしたけれど、でもよく考えなくても現状を考えたらフドウのこの行動は正しいんだと思う。
だって私、さっきの状態じゃ満足に走れなかったと思うから。

それにさっきシュートを蹴った時のダメージがまだ足に残ってるの。

動かす度に痛くて、痛くて。
ずっと我慢していたけれど、正直もう限界だった。

そんな状態で逃げるのなんて不可能だよね。
だからフドウは少しでも速く移動出来るように
私を背負ってくれたんだ。

重くないかな、辛くないかなって思う反面
フドウの大きな背中に身を預ける事に、ちょっと胸がザワついて、落ち着かなくて。

……というかフドウ、逃げるなら私を置いて逃げた方が絶対に速いはずなのに。
フドウは今日、怪我はさせたけど怪我はしてないみたいだったし。

しかも手を引っ張るとかじゃなくて、私をこうやってわざわざ背負ったりなんかして。

落ちないように、なんて言ってたけれどフドウがちゃんと私の足を掴んでるから落ちる事は無いと思うし。

……欲を言えば、お姫様抱っこで運んで欲しかったな、なんて。

「(ズルいなぁ、フドウは……)」

魔女の手下みたいな。海賊の船員みたいな。嘘を吐く狼みたいな悪者のクセに。

そういう事されちゃうとね、

誰だって王子様に見えちゃうじゃん。

－－－

フドウに背負われたまま甲板に着くと
そこにはもう誰の姿も無かった。

ただ、救命ボートはまだ1つ残っていたみたいで
私とフドウをソレを使って潜水艦から無事脱出した。

そうして潜水艦から離れると、今までで1番大きな爆発音が響き、潜水艦が傾いて、そのまま沈んで行ってしまった。

炎を上げながら、ﾌﾞｸﾌﾞｸと沈む潜水艦。
その姿を間近で目撃して、私はまるで大切な物が無くなった時のような喪失感に襲われた。

……無くなっちゃった。真・帝国学園。

私の居場所で、私の楽園。
ソレらが全部、全部海の底に沈んじゃった。

あんなに酷い試合をした後なのに。
目の前で潜水艦が沈む姿を見ている間、何故だか私はずっと悲しい気持ちになっていた。

フドウも黙ってその光景を見ていたけれど…
どう思ってたかはわからない。

ただ、ずっと沈む潜水艦から目を離さなかった。