語彙力どこいったんだ ページ48
「貴方達、まだ帰ってなかったの？
遅いからもう帰りなさい」
「いいえ、私達はこれから不動さんについて行って雷々軒でご飯を食べに行くのです」
「えっ…？で、でも不動先輩、これから私達と一緒に……」
「あー…その事なんだか、コイツらも一緒でいいか？古城が腹減ったって」
「狩屋君もですよ」
「だ、だから俺はお前の見張りだっての！」
「え、ええっ…？」
この様子だと佐久間から話は聞いていないらしい。
困惑した様子で俺を、そして古城と狩屋を見遣り
「まぁ、多分大丈夫でしょうけど…」と呟く。
「でもヒロトさんに許可は取ったの？
何にも連絡しないで行くと心配されるんじゃないかしら？」
「心配には及びません。不動さんが送ってくれれば、それで大丈夫なのです」
「俺が送る前提かよ…」
「ダメなのです？」
「いや、元よりそーゆー約束だから。送るって」
「そ、そう…？」
俺が答えると古城は何処か安心したような顔をして
音無はそんな俺と古城を交互に見遣り、不思議そうな顔をする。
一方、狩屋の方は不満げで、口を尖らせて「俺が居るじゃん…」と呟いていた。
「まぁ…そういう事なら。
さあ、にいさ……監督達の所に行きましょう」
「はいなのです」
「はーい…」
「不動さんも早く来て下さい。お腹ペコペコです」
「お前が腹減ってどーすんだよ…」
こんな寒い中、話し続けるのもなんだ。
鬼道達も待たせているし、俺達は音無について行き
円堂と鬼道の元に向かった。
−−−
大人5人と子供2人。
暗くなった夜空の下を歩く。
組み合わせが組み合わせなだけに、何だか妙な気分だ。
先導する鬼道達はあんま変わんないっぽいけど
対して狩屋は俺への敵意を隠すことは無く
俺と古城の間に入り込み、下から睨みを効かせていた。
どうして古城の知り合いはこう、俺を目の敵にするのだろう。
何となく理由はわかるが、それにしたって警戒し過ぎだろ。
他愛のない話に花も咲かせてくれないのか。
「そこでボールがビューンってした時はビックリしましたが、まさかそのボールを拾ってポーンってするとは思いませんでした。
狩屋君と霧野さんの連携は素晴らしかったのです」
そんな事を知らない古城は今日の試合の事を話してくれるも、話し方がまるで円堂のようでどの場面の事を言ってるかはわからなかった。
なんだ、ボールがビューンって。
拾ってポーンって。
いつもの語彙力どこいったんだよ。
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