増えたんだ ページ47
「古城」
「はい」
「隣のヤツはなんだ？」
「狩屋マサキ君です。お忘れですか？」
「違う、そうじゃない」
練習試合も終わり、各自その場で解散となり
雷門と帝国の連中がそれぞれﾊﾞﾗﾊﾞﾗに帰路につく。
そうしてほとんど選手がいなくなった所で、俺の前にやって来た古城の隣には、何故か狩屋が並んでいて、俺を真っ直ぐ睨みつけていた。
………どうしてこうなった。
「狩屋君に不動さんとお食事に行く事をお伝えしましたら、狩屋君も是非行きたいとの事で」
「ち、ちっげーよ！俺はただ！Aのお守り！」
「そうなのですか？でも私の外出禁止令はもう無くなりましたよ？見張りは結構なのです」
「で、でもっ…！だからって解放されてすぐそうやって遅くまで出掛けるのはアレじゃん？
……それに、不動さんとご飯食べに行くとか……」
「いけませんか？」
「よくないっ……わけじゃ、ないっ…けど…！けど！
あ……あんまりよくないんじゃないかなーって！」
「では狩屋君は行かないんですか？」
「なんでそうなるの？！行くに決まってんじゃん！」
「……そういう事です、不動さん」
「どういう事？」
あー……つまりはなんか誤解されてるって事だな。
大方、古城の親父さんの話は聞かせたが、まだ俺達の仲に不信感を持っているんだろう。
その不信感、大正解なワケだが。
そんな事言ったら本当に背後から刺されそうだから絶対言わねーケド。
ま、別にこっちも2人きりで行くってワケでもないし。帰りは俺が送って行けば円堂もいいって言ってくれるだろ。
「…ダメですか？」
「いや…ダメじゃねーケド」
「良かったです。一緒にご飯食べに行けますよ、狩屋君」
「………あんまり遅くならないようにしような」
狩屋の同行を承諾すると、古城は嬉しそうな顔をする。そんな彼女を見て狩屋も満更でもなさそうな顔をした。
丁度その時、音無が俺の元にやって来た。
どうやら皆の帰り支度が整ったらしい。
俺の名前を呼びながら駆け寄って来るが、途中で古城達に視線が向かい、驚いたような顔をする。
対して古城はちょっとﾑｯとしたような顔をして、半歩俺に身を寄せた。
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