写真の枚数なのです ページ43
「頑張って下さいね、皆さん」
「うん！今度はちゃんとシュートするから見ててね、A！」
「お、俺だってちゃんとボール止めるから…！」
「はい、ちゃんと見ていますから。
御活躍、ご期待しております」
ハーフタイムが終わり、後半戦が始まりました。
ポジションに戻る前に影山くんと狩屋くんは最後に嬉しそうな顔をしてグラウンドに入られました。
やはり応援があるとやる気が漲るものなのでしょうね。
やる気が出る事はいい事なのです。
ここから是非、逆転してほしいのです。
「……ところで山菜さん、不動さんの御写真は何枚程撮れました？」
2人がポジションについたのを見送ると、私はそっと山菜さんに耳打ち。
するとカメラを構えていた山菜さんは「んー…」とカメラを覗き込みながら首を傾げ、にこりと笑いながら告げた。
「3枚」
「さ……え？3枚…？」
「そう、3枚」
「……………思ったより少ないですね」
「基本は試合、見てたから」
前半の試合時間は約30分。
その間に3枚しか不動さんの御写真は撮られていないという事。
つまり10分に1回の不動さんしか撮られていない…？
桁を1つ間違えているんじゃないでしょうか。
とはいえ、仕方ありませんね。
元々山菜さんは選手達(と言うよりは神童さん)の御写真を撮りたくてカメラを持参して来ているわけですから。
そんな中、私が無理に頼んだのです。
わざわざ選手達の見せ場を削ってまで撮ってくれたんです。
そう考えたら寧ろ3枚って多くないですかね。
「因みに神童さんの御写真は…」
「30枚」
「さ……え？さ、さんじゅうまい……？？
神童さんだけで？」
「そう、シン様だけで」
そう言いながら、またﾊﾟｼｬﾘ。
きっと今ので31枚目ですね。
一体いつの間にそんな枚数を撮っていたんでしょうか……？
確かに私が不動さんに見とれる隣でﾊﾟｼｬﾊﾟｼｬ忙しなく音はしていましたが。
それに山菜さんの事ですから、選手皆の分の写真も撮っている事でしょう。
そう考えたら本当にどうやって30枚も神童さんの写真を撮ったのか不思議なのです。
そうしてシャッター音と同時にホイッスルも鳴り響く。
どうやら試合が始まったようですが
私の視線はしばらく山菜さんに釘付けでした。
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