甘やかされてるのです ページ35
「今日の夕飯はなんですか？」
「さぁな。カレーじゃねーの？」
「その場合、夕食の当番によって期待値が変わりますね。とりあえず南雲さんではないのです？」
「ああ。足りないモン買って来いって言われただけだから」
「そうですか……安心しました」
「あ？」
今日のお迎えの南雲さんと一緒にお日さま園へと帰る帰り道。
私は南雲さんの持つビニール袋の中身を覗き込みながら、本日の夕飯を尋ねる。
南雲さんのカレーは美味しんですけれど、ちょっと辛めなんです。不動さんが作った物よりも辛いんです。美味しいんですけれど。
でもビニール袋の中を見るに、違うみたいですね。
チョコーレートをカレーに入れるのは愛さんしかいないので、今日の当番は恐らく凍地兄妹さんなのです。
お2人のカレーはコクがあって甘くて美味しいので大好きです。
「おい、あんま漁んな。何もねーぞ」
「別に食べたりしませんよ。美味しいカレーが待っているのに」
「ならビニール袋から手を出せ。
ほら、キャラメルやるから」
「ありがとうございます」
「南雲さん、あんまりAを甘やかさないでくれる？」
カレーが待っているの分かるのですが、こっそりお菓子とか買ってないのか調べたくて。
ｶﾞｻｺﾞｿ袋の中を漁っていたら、不意に南雲さんがポケットからキャラメルを取り出して私にくれました。
中身は少ししかありませんでしたが、箱ごとくれたので小言を言う狩屋君にも1つ分けてあげたら、狩屋君は複雑そうな顔をしながらもキャラメルを受け取ってくれました。
「ﾊｯ、どっちが甘やかしてんだか」
「………」
「南雲さんもお1つ如何です？」
「……いや、元々俺のだったんだけど」
そう言いつつも仕方なさそうに手を差し出すので、私はその手の上にもキャラメルを1つ乗せてあげました。
キャラメルはこれで残り1個。
これは食後の楽しみとして隠して取っておきましょう。
「…ところで？さっきのヤツってアレか？
リュウジが言ってたロリコンってヤツか？」
「はい？」
「ぶハっ！！！」
キャラメルの味を堪能していたら、ふと南雲さんから爆弾発言が。
私は思わず眉を顰め、狩屋君は思いっ切り吹き出した。
……いきなり何を言うのかと思ったら。
だから南雲さん、さっき怖い顔していたんでしょうか？
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