トシノサ【不動明王】Part13 (ページ29)

今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:9,649 hit

まだこちらは解放されていないのですページ29

それから3日経ちまして。
つまり外出禁止令が出されてから6日目。

外出禁止5日の罰を喰らっていた狩屋君が、一足早くソレから、また他の雑務からも解放されていたので、朝から御機嫌でした。

こっちは早起きしてお弁当作るのを手伝っていたと言うのに……狩屋君の弁当箱だけ何も詰めなければ良かったです。

「あー！やっと解放された！
久々にぐっすり寝た気がするよ」

「そうですか。良かったですね。
私はまだ眠いのですが」

「雑用からも解放されたし、放課後残ってだべっても怒られないし」

「そうですか。私は放課後に葵さん達とお話出来ないのですが」

「何より！自由に外に出られる！
いやー、自由って素晴らしい！」

「すみません、それ以上は殺意を抑えられないのでやめてもらえます？」

こっちはまだ外出禁止令を解除されていないと言うのに。
ﾆﾔﾆﾔ笑いながらこっちを見るのやめて欲しいのです。

こうなるんだったら本当にこの人の弁当箱におかず抜きでご飯だけ詰めるんでした。

「私だって放課後に葵さん達とお喋りしたいのです……ガールズトークで盛り上がりたいのです」

「とか言ってるけど、ワリと部活始まる前とか喋ってるじゃん？」

「恋バナは流石に出来ませんよ。男子禁制なので。
女の子しかいない教室でしか、そういう秘密のお話は出来ないのです」

「恋バナ……？Aが？恋バナ？？」

「なんか言い方が引っ掛かってますね。
言いたい事があるなら言って下さい。怒りませんから」

「絶対怒るやつじゃん」

だって〝恋バナ〟って言った瞬間、鼻で笑われたような気がしましたので。

私だって恋バナするんですよ。
ほとんど聞くだけですけれど。

だって話したら大変ですもん。

濁して話してもﾎﾟﾛｯと言ってしまいそうですし
山菜さんは鋭いですから当てられそうですし。

……と言うかあの人、もう気付いてたりしませんかね？

私の好きな人。

「それに放課後、私が大人しく1人御迎えの人と帰るとお思いですか？狩屋君も道連れですからね。
引き摺ってでも私と帰ってもらいますから」

「……いや、別にそれはいいケド」

「えっ？いいんですか？」

「だっていつもと大して変わらないし…」

「そう…なんです？」

さっきの仕返しのつもりで言ってみたのですが、帰って来た返答があんまりにもあっさりしていたので、私は思わず拍子抜け。

大して変わらない、という事は…
私はいつも狩屋君を引き摺って帰って来ているのです……？