独特の怒り方なんだ ページ21
帝国学園のコーチとして、選手達の指導も終え
後片付けを手伝っていた時だった。
ふとジャージのポッケの中のスマホが鳴り出したのは。
ああ、マナーモードにするの忘れてた……部活中に鳴らなくて良かった。
しかもこの音、電話だな。
つーか、こんな時間に電話して来んのは誰だよ…？
とりあえずボール拾ってる最中だったから一旦グラウンドから抜けて、俺はベンチの方に行くとまずは名前を確認する。
画面に映る名前は『古城』
……ああ、なんだ古城か。
ったく、一体何だってこんな中途半端な時間に……
「………へっ？」
てっきり円堂辺りかと思って思わずスマホをまたポケットにしまいそうになったが、まさかと思って俺は画面を再び見遣る。
そこに書いてあるのは間違いなく『古城』の文字。
勿論『古城』はあの古城だ。
胃袋ブラックホールのウチのお姫様。
「………もしもし？」
まさか電話が来るとは思わなくって、俺は少し動揺してしまう。
コイツ、最近よく連絡して来るな……今度は何をやらかしたんだろうか。
何故かちょっとﾄﾞｷﾄﾞｷしながら返答を待っていると、案の定相変わらずの淡々とした口調で『もしもし』とアイツの返事が返ってきた。
『こんばんは、激おこプンプン丸の古城Aです』
「……ホントに怒ってる？」
『これでも私、怒ってるんですからね。
ムカ着火ファイヤーしてるんですから』
「ムカチャ……え？なんて？」
……と、思ったら開口一番にコレだよ。
どうやら内容はさっき俺が送ったイナラインのメッセージの返答か。
いや、わざわざそんな事で電話するなよな。
声聞けるのは嬉しいケド。
つか独特だな、コイツの怒り方。
「はいはい、怒ってるのはよーくわかりましたよ」
『わかってないですよね？私、本当に本当に怒ってるんですからね。またスタ爆しますよ』
「(スタ爆で済むのか…)」
『あと外出禁止令が解除されたらいっぱいデートしてもらいますからね』
「(それでいいんだ……)」
……しかも罰が軽いな。
スタ爆はまだしも、デートって。
そんなん、返事は「はい喜んで」一択だろ。
寧ろ進んで罰受けに行くわ。
「…で？それだけかよ。他に要件は？」
『本当は他にも色々言いたい所ですが、今日の所はこれぐらいにしてやるのです』
「なんだ、その言い方。言いたい事あるなら言えよ」
『会いたいです、不動さん』
「っ……ストレートはやめろ……」
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