トシノサ【不動明王】Part13 (ページ13)

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折れたのです。ページ13

「ねぇねぇ、ちょっとだけでいいから、ね？
確認してみようよ、ね？」

「………そ、そう……いわれても………」

「チラッとだけだよ！チラッとだけ！
送った相手の名前みるだけだよ！」

「で、でも……このスマホはAので……」

「じゃあ真名部君はAにメッセージを送った相手がわからないまま、ずっとモヤモヤしたいのかい？
もしかしたら僕達も知らない誰かからのメッセージかもよ？だとしたらどうする？真名部君は気にならないの？」

「………………」

……あんまりにもしつこく。ええ、そうです。しつこかったから。

僕は1mmも気にならなかったんですけれど、ね？
皆帆君がそう言ってあんまりにもしつこかったから。

遂に僕は折れて「名前を見るだけですよ」と彼女のスマホの電源ボタンに触れると、途端に皆帆君と狩屋君がそれぞれ僕の両サイドに集まり、僕と同じように画面を見つめた。

……って、どうして狩屋君まで……

別にアナタに見せる気は無かったのですが。

まぁ、今更文句を言う時間はありません。
何せAがいつ戻って来るかわかりませんから。

彼女が戻って来る前に早くメッセージの相手(とあわよくばその内容)を確認しなければ。

「……まぁ、ロック掛かってるよね」

と、思いながら電源ボタンを押すと、真っ暗だった画面がﾊﾟｯと明るくなる。

だが案の定、彼女のスマホにはロックが掛けられており、メッセージの内容もその送り主の名前も隠されてわからない状態だった。

「Aはメッセージの内容は隠すように設定してあるんだ……意外だなぁ」

「…それだけ知られたら困る相手とやり取りしてるって事？」

「その線はあるよ、狩屋君。
まさか本当にAの好きな人とかだったりして！

……でも暗証番号がわからないと、どちらにしろ見れないよね……」

「……」

桁は4桁。虱潰しに試そうとするなら、その数全部で10000通り。
勿論、試しませんけど。

でもこの暗証番号がわからないとメッセージの内容は見れません。
早々に立ちはだかる壁に狩屋君は何やら考え始め、皆帆君は何故か楽しそうな顔をする。

……って、楽しそうな顔しないで下さいよ……

ロック番号、打ちづらくなってしまうじゃないですか。