△リボンが179こ▽ ページ35
彼女の濁った瞳が揺れ動く。
ｷﾞｭｳ、と強く、痛いくらいに握られて、真名部は思わず顔を顰めた。
まるで何かに焦っているようだと真名部は思った。
大きく動揺してしまっているように思えた。
今までに見た事のない彼女の様子に真名部は驚きと共に恐怖する。
脳裏に過ぎる、警備員を殺害した時の顔。
あの顔とは違うが、そうなってしまうんじゃないかと考えて真名部は半歩後退りしてしまう。
急にどうしたんだろう？
一体何があったんだろう？
そうなる原因がわからなくって、真名部は声を掛けるのも忘れて佇んでいたら、ふとAはするりと繋いでいた手を離した。
あんなに強く握り締めていたのにあっさり離され
真名部は繋がれていた手を見てから、再びAを見遣る。
Aは視線を落として俯いていたが、おもむろに顔を上げる。
そうしてﾆｺﾘと
「…真名部、ありがとう。もう大丈夫だよ」
「えっ……？」
「ママの寝るお部屋の場所、もうわかるから。
真名部は先に下に行って待ってて」
まるで何事も無かったかのように振る舞う彼女。
眠気も覚めたのだろうか。
声の調子もいつも通りに戻っていた。
真名部はその切り替えに動揺し、終始目を白黒させていた。
その間にAは真名部のすぐ横を通り抜け、階段の1番上まで上がってから振り返る。
どうやら真名部が戻るのを待っているようだった。
「……あっ……じ、じゃあ……戻らせて、頂き…ますね」
「…うん」
「な、何かお手伝いとか…必要であれば、呼んで下さい。……布団ぐらいなら、僕でも…運べますし」
「うん、わかった」
「……では」
微笑みを浮かべるAに母親の寝室の時のような薄気味悪さを感じて、真名部はぎこちなく笑みを浮かべながら踵を返すと、そのまま階段を降りて行った。
階段を降り切った時、上から扉が開いて、閉まる音が聞こえた。
どうやら彼女は母親の寝室に入ったようだが、その扉の音が妙に軋んで聞こえたような気がした。
一瞬、こっそり戻って寝室を確認してみようとも思ったが、小心者の真名部はその考えをすぐ追い払う。
早足でリビングに戻り、気を紛らわせるように
真名部はテレビの番組をまた眺め始めたが
その内容は全く頭に入って来なかった。
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＊IJu＊(プロフ) - ルナストーンさん» 御指摘ありがとうございます！そうですね、それですね(´･ω･`)早速直して来ます〜！ (2020年12月17日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - あのー［△リボンが181こ▽］の［鼻を突かれで、真名部は毛布の中に顔を引っ込めた］のところの［鼻をつかれで］になってますが、［鼻を突かれて］なのでは？ (2020年12月17日 16時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
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