探偵フクロウと独りのハイエナ Part15 (ページ9)

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クソっ……クソっ！！
止められた……あのキーパーに止められた！

悔しさと焦りで私は顔を顰めた。
でもすぐに頭を切り替えようと深呼吸をする。

…こんな事でいちいち焦るな。
まだ入ったばっかりだ。前半も時間がある。

今は落ち着いて、点を取る方法を探ればいい。

そうやって、私の気持ちを無理矢理押さえ込んだ。

「イシガシ！」

キーパーはキャッチしたボールをすぐイシガシに繋げ
イシガシはボールを受け止めると、そのまま向かって来る。

そんなヤツの前に回り込んでボールを奪おうと足を伸ばすが、なかなかボールが奪えない。

つーかコイツ、なんかﾆﾔﾆﾔしてないか？

なんだ？まさか遊んでるのか？こんな時に？？
私で遊んでるってのか？？？

押さえ込んだつもりのモノが溢れて来る。
ムカついて頭に血が上ったせいか単調な動きになってしまい、ヤツに翻弄されてしまう。

本当ならそのまま抜かせると思う。悔しいけど。
でもコイツはそうはしなかった。

ただﾆﾔﾆﾔ笑いながら、まるで猫じゃらしで猫と遊んでいるかのように、ボールを操っていた。

ｲｼｶﾞｼ「欲しいですか？」

A「あン…？！」

ｲｼｶﾞｼ「欲しいなら、代わりに貰って下さい。

＿＿＿彼に」

不意にヤツはなんか喋ったかと思うと、その場で緩くボールを蹴った。

ふわりと浮いたボールはそのまま私の頭上を通過。
そして意外な人物の足元に転がって行く。

剣城「っ……？！」

パスかと思ったが、何故かボールは剣城の元に転がり
剣城は驚いた顔をしながらも、転がって来たボールを片足で受け止めた。

なんだ…？パスミスか？

……いや、あのニヤけた笑い方からそうではないな。

何企んでいるのかわからないが……ボールはアースイレブン側に戻って来たんだ。

でも今の剣城じゃボールはまともにパス出来ないだろうし……仕方ない。私が取りに行くか。

A「剣城！私が取りに行くからそのまま動くなよ！」

剣城「っ…？！来るな、Aっ！！」

とりあえず私がボールを取りに行こうと思い、剣城の方に向かって行ったが、その直後に剣城が苦しそうにそう叫んだ。

驚いてしまったが、足は止めなかった。
それが間違いだったんだ。

ああ、どうして気付けなかったんだろう。

さっきまでベンチで皆の事見てたのに。

剣城「ぐっ……ああああぁぁ！！」

A「っ……！？」

突如、剣城が苦しみ出したかと思うと

私の前に一体の〝オオカミ〟が現れた。