▼焦燥 ページ16
皆帆「ありがとう、A。一緒に闘ってくれて。
……大丈夫だよ。Aは充分強いから。
だから、そんな顔しないで。自分を責めないで」
A「………ぅぐっ」
…和人には私の心が読めていたようだった。
私は涙を堪えていた顔をそっと上げて、和人を見遣る。
すると和人は辛そうにしながらも笑い、尚私の頭を撫でてくれた。
……ダメだなぁ、私。
点も取れない上に、疲弊してる人にまで心配させるだなんて。
滲んだ涙を腕で拭って、強がろうとするけれど
涙がまた滲んで視界を歪ませる。
悔しい。
あんなに頑張ったのに、点を取れなかったのが。
悔しい。
あんなに頑張ったのに、思い通りに動けなかったのが。
少しでも後半の負担を減らそうと頑張ったのに。
更に点差広げられて。痛めつけられて。
悔しい。悔しい。
悔しい悔しい悔しい……！！
A「………ごめん」
皆帆「どうして謝るの？」
A「私が…弱いから。ただ体力があるだけで、強くないから。だから……ごめんなさい」
皆帆「…Aは弱くないよ。キミは充分頑張った」
A「でもっ…！私、1点も取れなかった！
ボールだって取れなかった！
いいように遊ばれて、和人達のソウルも止められなかった…！
だから私、ソウルが出せないんだ…！
出しゃばるクセに何も出来ない弱虫だから…！
だから私のソウルは嫌気が差して出て来てくれないんだ！」
どうしようもない弱音が私の口から溢れる。
ああ、また私はそうやって和人を困らせて。
だから弱いままなんだ。
でも焦りだってするだろう。
だってアースイレブンの中でソウルが使えないのが
いよいよ私だけになってしまったから。
黒岩監督は言っていた。
選んだ選手全員にソウルが眠っていると。
だから私にもソウルは使えるはずなんだ。
それなのに。
ガードンの長は言っていた。
私には�犲�棄�瓩�あるからソウルが出て来れないって。抑え込んでるって。
だけど今の私にはもうソレは無いはずだ。
皆が私を受け入れてくれたから。
�狢膓�李音�瓩鮗�け入れてくれたから。
私が死んだら悲しむ人がいるってわかったから。
この試合に出れば、もしかしたらって思った。
ベルセルクレイで暴走したソウルが私の中から勝手に出て来てくれるって、思った。
でも、出て来なかった。
きっと私が弱いから、出て来なかったんだ。
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