▼ハイエナ対フクロウ ページ11
てんてん、とボールはアースイレブンのゴール前に立つ和人の元に転がった。
よりによって和人の足元だ。
そうして、またﾆﾔﾆﾔと笑いながら私を見遣るイクサルフリート。
まるで『取って来い』って言ってるみたいだ。クソッタレめ。
……まぁ、取って行くしかないんだけどな。
今のアースイレブンじゃパスもろくに出来ないから。
A「和人！ボール蹴れる？パス！」
皆帆「っ……」
とりあえずボールを取りに一旦私は戻って行くと
和人から少し離れた所で止まり、彼に声を掛けた。
一応ソウルが出て来た時、どうにか出来るように…ね。ホントはこんな事したくないんだけど。
それに運が良ければソウルは出て来ないかもしれないし。
今回もそうだといいんだけど………
皆帆「っ……Aっ……」
A「…っ！…ダメかっ…！！」
……今回もダメだったみたいだ。
パスしようとしてくれたみたいだけど、ボールを蹴ろうとした直前に苦しむ和人。
私はそのまま逃げようとしたけれど、ふと彼の後ろはすぐゴールがある事に気付く。
もしも暴走した状態でさっきの瞬木みたいにシュートされたら……点差がまた開いてしまう。
それはダメだ。ダメダメ。
これ以上点差が開いたら状況が絶望的になっちまう。
井吹も今はまともに動けそうにないし……
となると、私しかいないのか。
A「ホンット、ヤんなっちゃうよな！」
逃げようとしたけれど、私は踵を返して苦しむ和人に向かった。
和人はそんな私に驚いた顔をしたけれど
直後に苦しそうな声を上げながら彼の姿が変わってしまった。
目の前に立つのはフクロウ。
和人のソウルがフクロウとは思えぬ声で嘶き、案の定私に向かって突進して来た。
鋭く尖った足の爪を開き、獲物を捕らえる為に突っ込んで来る。
間一髪で避ける事には成功したが、そうなると今度はボールを持ったままゴールへと突っ込んで行った。
ゴールはマズイって言ってるのにっ…！
A「和人！！やめろっ！！」
咄嗟に叫んだが、そんなんでやめるはずがない。
私は思わず舌打ちをかますとゴール前まで回り込む。
回り込んだはいいものの……この後の事は何にも考えてなんかいない。
ソウルなんか使えないし、ブロック技の1つや2つ持ってたらまた現状は違ったんだろうが、私は生憎守るのは苦手みたいだから。
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