リボンの檻 3 【真名部陣一郎】 (ページ7)

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△リボンが102こ▽ ページ7

「(この人、何考えているんですっ…？！)」

Aの行動に真名部は心の叫びが口から出てきそうになった。

嫌な汗が真名部の背中を伝う。

Aはきっと何も考えていない。

彼女は人懐っこい性格だ。
きっと話し掛けられれば誰にでもそうやって愛想を振りまくのだろう。

それはとてもいい事だが、もう少し警戒はして欲しいと真名部は思う。

軽率な彼女に真名部は憤りすら感じていたが
直後に自分の言動の方が傍から見たら可笑しいであろう事に気付く。

ついつい返事もせず頭を働かせてしまっていたが、こういう時こそ自然の振る舞いが大事なのではないだろうか。

でなければ疑う物が無かったとしても疑われるだろう。

そもそも、あの警備員はそういう意味で自分達に声を掛けたのではないのかもしれない可能性だってある。

例えば、誰かの落とし物を拾っていて
たまたま偶然近くを通った自分達の物だと勘違いしたとか。

ああ、もしかしたら本当に落とし物をしているかもしれない。
財布と家の鍵の管理はAに任せているが、ハッキリ行って真名部は信用はしていない。
何せ、ただパーカーのポケットに突っ込んでいるだけだから。

そうだ、きっとそう。

真名部はそう考えて、1度自分を落ち着ける。

その間にAと警備員の会話は進んでいるようだった。

「いや、少し気になってしまいまして。
キミ達、随分と若いみたいだから」

「わかい……？そーなの？わかいの？」

「ああ、見た所……学生だと思ったのですが」

「…？私、学校行ってないよ？」

「行ってない…？って事はお嬢さんの方は学生ではない、って事……なのかな？」

噛み合っているのか、いないのか。
そんな会話を繰り広げる2人。

Aの言葉足らずな部分を勝手に補う警備員は知らないだろう。
目の前の少女が実は1度も学校に行った事が無いだなんて。

でも幸いか、それともちゃんと意味を理解していないのか。余計な事は話さず、Aは首を傾げるばかりだった。

Aの確認が終わると、警備員の視線は真名部へ移る。

途端にまたﾋﾞｸｯと真名部の肩は震え、恐る恐ると言った様子で真名部は振り返った。