辻 610 ページ7
その後、瞬木は�牘騰瓩涼罎鮴�って、団員達を全員中央に呼び集め始めた。
その間にフェイはワンダバと連絡を取り始め、その場に残されたのは俺とAのみとなった。
少しするともう何人か集まって来たようで
中央には元から居た皆帆、瞬木の他に
真名部、井吹、鉄門が集まっていた。
「ったく……急に呼び出してどうしたってんだよ…
こっちは疲れて寝てたってのに……ふぁあ…」
「しかも、どうして此処に霧野くんがいるんですか？
彼は館に留守番のはずでは？しかも知らない人もいるようですし……」
「ま、まぁまぁ真名部くん。これからソレも含めて説明してくれるから…」
たった数時間でテントを張り、物資や大道具を運び終えた後で疲労も溜まっていたのだろう。
鉄門は欠伸をしながらボヤき、真名部も鋭い眼光で俺とフェイとAを見遣る。
でも井吹は何かに気付いたらしい。
来てすぐにAの元に向かうと、犬のように彼女のニオイを嗅ぎ始めた。
Aは慣れているのか、手を差し出して自分のニオイを嗅がせると、おもむろに手を彼の顎の下に持って行き、まるで猫の喉を撫でるように指先で撫で始める。
「……A？」
「ご名答。よくわかったね、井吹」
途端に尻尾をﾌﾞﾝﾌﾞﾝと振り始める井吹。
そんな井吹の頭をご褒美とばかりにわしゃわしゃとAは撫でると、井吹は更に激しく尻尾を振り回した。
余程、嬉しいのだろうか…
普段の彼女もこうやって井吹と戯れているのか。
どちらにしろ、姿形が異なるのにニオイだけで彼女を彼女だと認識したのは、やはり狼の本能故か。
……いや、でもこの光景はどちらかと言ったら犬だな……
「おおっ！なんか集まってっぞ！」
不意にそんな声が聞こえ、俺は何気なく声のした方を見遣る。
きっと他の団員だろう。そう思った。
しかしそちらの方を向くとそこに居たのは
《イドラのサーカス》内の誰でもない少年だった。
無造作に腰まで伸びた緑の髪で、やや褐色。
無邪気に笑うその少年の前歯は1本欠けており
頭には動物か何かの頭蓋骨をそのまま被ったかのような、変わった…帽子？を被っていた。
アイツは……誰だ？
少なくとも館と《イドラのサーカス》内では見た事が無いが……部外者だろうか？
いや……でもだとしたら、何故こんな所に？
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