世界征服～僕らのサーカス～【イナGO】VS SSC編第肆幕 (ページ50)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:5,800 hit

辻 653 ページ50

「せっっかく過去の世界に来て、本物に会えると思ったのにィ……円堂さんには会えないし、偽物は現れるしィ……腹立つゥ……！」

「……」

何も聞こえなくなった通信機を握り締め、Aはｷﾞﾘｷﾞﾘと歯軋りをする。

事が上手く進まない上に邪魔をされ、更には憧れの人に会えないからこそ、苛立ってしまうんだろう。

だがこんな所で腹を立てていてもしょうがない。
団員達が偽物の円堂さんに酷い事をする前に本物の円堂さんを見つけなければ。

………しかし、どうやって？

風丸さん達もわからない円堂さんの居場所をどうやって突き止めれば……？

「…どーしたの？もしかして緊急事態発生？」

「…！」

苛立つAを宥め、これからどうしようか迷っていると、不意にマックスさんが声を掛けた。

そう言えば俺達、まだあの廃墟の前にいるんだった…
風丸さん達、てっきり何処かに行ったものかと思っていたが、まだいたようだ。

しかも今の通信機の話の内容を聞いていたようで
風丸さんも「円堂に何かあったのか？」と首を傾げる。

話していいものかと1度Aとトーブにアイコンタクトすると、Aは少し悩ましげにしながらも振り返り、言いづらそうにしながらも3人にそのまま話した。

「えーと……それが、その……

どうやら今、このイーストキャピタル内に円堂さんの偽物が沢山いるみたいで……」

「円堂の…偽物？」

「そのせいでホンモノとニセモノが区別つかなくて、オラ達困ってるんだゾ！」

「円堂の偽物、って……どんなんだろ？
ちょっと会ってみたいかな」

「面白がっちゃダメだろ、マックス…」

事態はよろしくない状況であるはずなのに、マックス達は何処か軽いノリでそんな冗談を言ってのける。

ただ風丸さんは真剣な表情で話を聞き、何やら考えるような仕草を見せた。

…風丸さんは…真面目な人なんだな、きっと……

「…因みに何処にいたか教えてくれるか？」

「今来た連絡によると、現れたのは…大通りの裏側、中央広場、〝帝国〟のすぐそばに壁の出入口付近とあとは……」

「お、思っていたより多いな……」

「そんなに沢山円堂いるのはイヤだな、流石に…
こっちが疲れちゃう」

「偽物だけどな」

話を聞いていた風丸さんも思わずたじろぐ程の数だ。

マックスさんも想像したのか、少し笑みが引き攣っていた。