世界征服～僕らのサーカス～【イナGO】VS SSC編第肆幕 (ページ44)

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辻 647 ページ44

「諸事情によりハトは本当じゃないケドね。
ま、そこは大目に見てよ」

白いハト……の置き物を片手にAはそう言うと
マックスから大きな拍手が上がった。

半田さんもそんなマックスを見て、何処か悔しそうにしながらも拍手を送る。

その拍手の音にAはまた仰々しく頭を下げてお辞儀をすると、少しだけ嬉しそうに笑った。

「スッゲーなダンチョー！手からトリが出て来たゾ！！」

「ブラボー、ブラボー！
いやぁ、初めて生で見たけどスゴいね！どうなってるの？」

「タネも仕掛けもありませんよ、文字通り。
だって僕は〝バケモノ〟だもの」

「あ！そんなセリフ、聞いた事ある！
そういう活動とかしてるの？」

「僭越ながら、これでも移動式サーカス団の団長を務めている者でして。〝手品〟は私が得意とする演目の1つなんだ」

「スッゲー！ねぇねぇ、他に何か見せられる手品ない？簡単なのでも良いからさ！」

「オラもオラも！」

「ふっふっふっ……では、アンコールにお答えして、違うヤツやっちゃおっかな？」

Aとマックスはどうやら意気投合したようだ。

トーブも交えて次の〝手品〟を披露する為、再び白い左手からステッキを創り出した。

違う〝手品〟を披露するAはイキイキとしていて、何だか楽しそうだった。

普段の《イドラのサーカス》では怪しい雰囲気で、マスクで隠れているとはいえ、こんな風に演じてはいなかったというのに。

それとも、未来のAはこんな風に演じるようになったのだろうか…？

「…………なぁ、」

楽しそうな3人を眺めながら俺も思わず口元を綻ばせていると、ふと半田さんが訝しげな顔をしながら話しかけて来た。

俺はぎこちなくも返事を返すと、半田さんは少しの間を空けてから続けた。

「お前ら、10年後の未来から来た……とか言ってたよな？」

「あ、ああ……そうだけど……」

「ならさ……10年後の俺に会ったりとかした？」

「………えっ？」

何を聞かれるのかと思っていたが、予想していたモノとは少しズレていた。

思わず目を白黒させると、半田さん少し気恥しそうに、言いづらそうにしながらも更に続けた。