世界征服～僕らのサーカス～【イナGO】VS SSC編第肆幕 (ページ43)

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辻 646 ページ43

「遂に円堂さんと会えるのかぁ…！楽しみだなぁ！」

風丸さんがいなくなると、Aはその場でそわそわとし出した。

自分の好きな作品に出て来る登場人物と会えるんだから、そうなるのも無理はないだろう。

……まぁ、少し前までは敵意剥き出しだったのだが。
こうも掌を返されると返って面白くも感じる。

それにしても、俺達の時代の円堂さんは元気にしているだろうか……

円堂さんだけじゃない。
風丸さんに鬼道さんに、それに戦闘員の皆も。

狩屋はまだへそを曲げたままなのだろうか。
それとも、もうそんな事はないのだろうか。

最近会った狩屋は初対面で、しかも敵として見られてしまっていたから、尚更恋しい。

このいざこざが終わったら、1度フィフスセクターに行ってみるものいいかもしれないな……

「ねぇねぇ、A！待ってる間に見せてよ！〝手品〟ってヤツをさ！」

そんな事を考えながら風丸さんを待っていると、不意にマックスがAに話し掛けた。

きっと移動している時の話の続きみたいなものだろう。
Aも「うん、いいよ」と快く引き受け、2人の観客を前にお得意の〝手品〟を披露し始めた。

「じゃあ、リクエストにお答えして、まずはハンカチのヤツから」

Aは少し2人から離れ、仰々しく頭を下げると
何も無かったはずの白い左手から真っ白なハンカチを取り出した。

……いや〝創った〟のか。

でも能力を事を知らないマックスからはそれだけで感嘆の声が上がり、こちらを睨むように見ていた半田さんも驚いた顔をする。

そんな2人の反応を見て、Aはサーカスで見せる営業スマイルを浮かべると、ハンカチを1度両手で包む様に掌の中に。

そうして次の瞬間、紐を引っ張るようにハンカチを左右に引き伸ばすと、ハンカチは忽ち黒いステッキに変わり、彼女はソレを慣れた様子でくるくると弄んだ。

だがすぐにステッキの端と端を掴むと、再び掌を合わせる(・・・・)。
勿論、ステッキはまるで彼女の掌に吸い込まれるように無くなり、合わせた掌をまた勢いよく開く。

すると中から今度は白いハトが紙吹雪と共に現れ、半田さんから「すげぇ…」と声が漏れる。

マックスは目が釘付けで、ﾊﾟﾁﾊﾟﾁと瞬きを繰り返しながら口を半開きにして見ていた。