辻 640 ページ37
「未来から来た、って……この期に及んで何言ってんの？」
当然よ、俺の話に2人の少年は呆れ顔。
まぁ、そりゃあそうなるよな……
突然現れた怪しい人間がそんな突飛な事言い出したら。
ただ、後ろの風丸さんだけは驚いた後、じっと俺を興味深そうに見つめていた。
「目金が聞いたら喜びそうだな……」
「信じてもらえないかもしれないが、本当だ。
この時代で歴史を変えたせいで、本来の未来が失われようとしている。
だから俺達はソレを阻止する為、この時代に……」
「あーもー、ヤメヤメ！
これ以上は付き合っても意味無いよ、どーせ」
それでも一縷の望みを賭けて話し続けたが、その途中で遮るように�爛泪奪�ス�瓩�手を振りながらそう言った。
馬鹿げた話だと思ったのだろう。
ふざけているとも思われたんだろう。
呆れの溜息をわざとらしく吐き出しながら、彼はおもむろに懐からナイフを取り出すと、くるりと器用に片手で回してから、その刃先を俺達に向けた。
「とりあえず風丸の宣言通り、まずはコイツらから潰しますか」
「っ……」
「だから言ったのに……」
「かかって来いっ！！」
…どうやら相手は本気でやる気のようだ。
今の一瞬で一気に空気が変わり、ﾋﾟﾘﾋﾟﾘと肌が痺れるようだ。
今まで呑気で何処か楽観的だった�爛泪奪�ス�瓩眦喘爾防従陲鯡気�し、まるで別人のようにナイフを構える。
その隣の茶髪の少年も1つ溜息を吐くと、仕方ないと言いたげに同じようにナイフを構えた。
クソっ……こうなってしまったか……
トーブも迎え撃つ気満々だし、俺も戦えるようにとナイフをホルダーから取り出した所で、ふと落ち着いた少年の声が制止した。
「待て、」
「…！」
……風丸さんだ。
振り返ると風丸さんが、真剣な表情で俺を見ていた。
俺は目を見張り、そらせずに目を合わせたまま固まる。
風丸さんはじっと俺の目を見つめ、そうして何やら考えるように目を細める。
まるで俺の心の内を見透かそうとしているようだった。
やがて風丸さんは目を閉じると、ゆっくりと開いて再び目を合わせる。
その瞳には疑いと敵意はもう感じられず
代わりに疑念と好奇心がチラついているような気がした。
「………もう少し、話を聞いてみよう」
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