辻 635 ページ32
「なっ…？！消えたっ？！」
自分が持っていたはずのナイフが�倏鵬��瓩気譟∧源�通り跡形もなく無くなった事で、動揺を隠せない後ろの少年。
その動揺の隙に俺は彼から離れようと駆け出すと
一瞬遅れて背後のヤツは俺を捕まえようと腕を伸ばした。
「お触り厳禁！！」
「っ…！！？」
だが、Aがソレを許さなかった。
俺とヤツが離れた瞬間、Aは左手を下から上に掲げる。
すると俺とヤツの間に鉄の柵が地面から生えて分断した。
俺は急に後ろで鉄柵が生えた事に驚いてバランスを崩してしまい、前のめりに倒れてしまうが
地面に激突する前にAが俺の腕を掴まえて立たせてくれた。
更に驚く事にトーブがその鉄柵を�狒和き瓩気譴晋�
その驚異的なジャンプ力で乗り越え、持っていた武器を掲げた。
あの武器は……ナイフ？
いや、先端が尖った……石？？
トーブは石のナイフのような武器を俺を脅していた少年へと振り下ろす。
が、少年は間一髪の所で横に飛んで避けると、俺達を睨み付けた。
その時、俺は初めて俺の背後に立っていた彼の顔を見た。
「えっ……」
その瞬間、大きく目を見開いた。
水色の髪を1つに結んだ、チョコレート色の瞳の少年。
前髪で片目を隠していてもわかる、その端正な顔立ちは��10年後�瓩畔僂錣蕕覆い�、その瞳が持つ暗く澄んだモノを俺は知らなかった。
この人は……風丸さん……？！
「なんなんだ、お前達っ…？！ナイフを消したり鉄柵生やしたりっ……人間なのかっ！？」
少年……否、風丸さんは困惑の表情を浮かべながら、
俺達を睨み続ける。
攻撃を避けられたトーブは一瞬驚いた顔をしていたが、再び踏み込んで風丸さんに向けて武器を振り下ろした。
だが、その攻撃もやはり紙一重でかわされてしまう。
そのスピードは俺の知っている風丸さんを上回り、Aも驚いていた様子だった。
いや、あの人も大概人間離れした速さなのだが……？
姿を追うのが難しく、瞬きをしていたらまるで瞬間移動でもしているかのようだった。
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