世界征服～僕らのサーカス～【イナGO】VS SSC編第肆幕 (ページ24)

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辻 627 ページ24

話し合いの後、俺達は《イドラのサーカス》と共にキャラバンに乗り込んだ。

その際に席順について色々とぶつかり合いもあったが(とは言っても主に鉄門と野咲)Aがﾊﾟﾊﾟｯと決めたら皆素直にソレに従った。

どうやら彼女の話は信じられ、早くも《イドラのサーカス》に認められつつあるようだ。

未だに敵意を向けられる事もある俺からしたら、少し羨ましい限りだ。

そうして、彼女が決めた席順の末、俺の隣には(何故か)瞬木が座らされた。

早くも気まずい空気が俺達の席に流れる。

…どうして俺が彼の隣になったんだろうか…

そりゃ、希望は特に無かったのだが…
だからって、わざわざ瞬木の隣なんて。

ほら見てくれ、瞬木を。
俺の隣なんだが、1度もまだ目を合わせていないんだ。

しかもずっと窓側に頬杖をついて眉間にシワ寄せて。
明らか『話し掛けたら殺す』オーラを発してやがる。

Aは俺の前の席で「何かあったら言ってね」なんて言ってくれたが…
これでは言う前に〝影〟で切り刻まれてしまいそう。

「あ…改めて、その…よろしく、な…」

「…」

それでも俺は折角同じ団員として仲間になったんだし
これからもこの席でいると思うので、一応挨拶しておいた。

しかし返されたのは無反応。
強いて言うなら、窓に反射して映る瞬木の眉間のシワが更に深くなった事ぐらい。

……勇気出して声掛けたのに。

早くも席替えを希望したくなったが、今回ばかりは我慢する事にした。

「何だか旅行みたいですね、神童さん！」

「馬もいないのに動力はどうなっているのでしょう…？不思議ですね……」

「揺れたりとかするのか…？
俺、酔うタイプだから揺れるのはあんまり……」

「皆ー！シートベルトはちゃんとしておいてねー！」

それにしても車内は先程と打って変わって随分と賑やかだった。

そりゃあ、決して静かではない《イドラのサーカス》の団員全員が乗っているのだから、そうなのだろうけれども。

まるでこれから遊びにでも行くかのような賑やかっぷり。

フェイが1番前の席から振り返って皆に呼び掛ける声も相まって、これから未来を救いに行くとは思えない。

「ふふふっ…この感じ、やっぱりいいなぁ。ねぇ、井吹？」

「ｯﾁ……喧しいったらありゃしない」

「……」

騒がしい車内。前の席でAは笑い、隣の席で瞬木は愚痴る。

皆の声を聞きながら、俺は言われた通りシートベルトを留めると、隣の席で目を細める彼を横目で盗み見た。