彼女の為なら【七つの大罪】part8 (ページ47)

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彼女の最悪の目覚めページ47

薄暗い洞窟みたいな所だった。

そこで〝彼女〟と出会った。

〝彼女〟は頭を撫でてくれた。

あたたかくて、僕には無いモノだった。

〝彼女〟は王女様だった。

だから会うのが難しくって。
人に協力してもらって、彼女の傍にいれるようにしてもらえた。

〝彼女〟は本が好きだった。
〝彼女〟は物語が好きだった。

だから〝彼女〟の好きな物語の通りに城を抜け出して
夜に馬を走らせた。

〝彼女〟は病気だった。

重い病気で、日に日に弱って行った。

〝彼女〟が言わなくてもわかった。
〝彼女〟はこのまま長く生きられないって。

だから、ゴウセル(・・・・)は…………

－－－

「…………………………」

…………最悪の目覚めだった。

いつの間に寝てしまったのか、用意された寝床ではなく床に眠ってしまっていた上、嫌な夢を見てしまった。

固い床から起き上がると、昨日は確かに掛けていないはずの毛布が掛かっていた。

大方、リラが掛けてくれたんだろう。
人形野郎だったらついでに寝床まで運んでくれたはずだ。

アイツはそういうヤツだからな。ムカつく。

リラは先に起きているのだろうか…？
僕が目覚めた時、部屋にはいなかった。

時間は……朝か？
太陽はまだ登り始めたばかりで、小鳥がﾁｭﾝﾁｭﾝ鳴いてた。

ホントはもう少し寝たい所だが……
またあの嫌な夢を見ると思うと寝る気にならない。

仕方ないから僕は下の階に降りて、誰かいないか探してみたが、下の階にはヤツしかいなかった。

「げっ……」

「…！おはよう、A！」

……ゴウセル。
そうか、コイツは人形だから眠らなくてもいいんだっけな。

それにしたって部屋にいればいいのに、わざわざ下の階でソイツは本を読んでいた。

でも僕が降りて来るのを見つけると、本から顔を上げてさ。笑うんだ。

思わず顔を顰めてしまうと、途端にゴウセルは笑うのをやめて、目を伏せた。

「……他に人は？」

「団長と王女様が外に出て、その後バンとキングも出掛けたよ。すぐ帰って来るんじゃないかな」

「リラは？」

「リラも散歩してくる、って出掛けたよ。
飲み過ぎで頭痛いからって」

「…っそ」

…要するに、今人はいないって事か。

エスカノールもマーリンもエレインもまだ寝てんのだろう。
すぐ帰って来るっつってたけど、いつ帰って来るんだろう。早く帰って来て欲しい。

つーかリラ、頭痛いって……
だからやめとけって止めたのになぁ。