彼女の為なら【七つの大罪】part8 (ページ5)

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彼女の鳥肌ページ5

「互いをその人本人だと認知していても、魂は元々は別よ。だから、その身体の持ち主と同じ魔力は使えなくなるの。

つまりお互いに魔力が使えなくなるの。
こうなったら牢屋から出るのはなかなか難しくなるわよね」

…リラが話すにはそういう事らしい。

ま、人を操る心配が無きゃたしかにこっちとしても安心だし、僕の髪の毛だって凶器になるんだから、ただの髪の毛になる分には安全だろう。

「そうする事で無力化する事には成功したけれど
〝ソウル・ローテーション〟には悪い所があって、入れ替わった者同士の距離が近ければ近い程、互いの元の身体と共鳴して、魂が元の場所に戻ろうとするみたいなのよね。

その拍子に元の身体の記憶が蘇る、なんて事もたまにあってね～……だから私は中身がゴウセルのAと一緒に暫くリオネスを離れていたの」

「リラ、その言い方止めて。鳥肌立った」

本当に鳥肌立ったわ。何そのおぞましい言い方。

僕の中にゴウセルの魂がいただなんて考えたくもない。いや、実際いたんだけどさ。

その逆も然りで、僕の魂はゴウセルの中にいたんだし……ヤバい、改めて想像したら寒気までして来た。

「ったく……そんで牢屋ン中ぶち込まれてたってワケね、僕」

「そこにはキレちゃダメよ、A。
どっちを牢屋に入れようか話した時、アナタ自身が言い出したんだからね」

「……そうだっけ？」

ﾌﾞﾂﾌﾞﾂと泡立つ肌を片手で撫でながら、僕は文句を言っていると、リラにそう言われ僕は思わず首を捻る。

言われてみれば、そうだったよーな、そうでもないよーな……

まぁ、リラが言うのだからそうなのだろう。
理由は忘れたケド。

でもこの人形の代わりに捕まってたと思ったらやっぱちょっと腹立つ。

「……ところで、僕達は今何処に向かってるのかな？」

リオネス城内をある程度歩き、僕はふと浮かんだ疑問をリラに尋ねる。

彼女について行く形で歩いているが、実際のところ何処へ向かっていて一体今から何をするのかサッパリだ。

ゴウセルも僕と同じだったようで、ヤツも首を傾げてリラを見遣る。

「1度〈豚の帽子〉亭に向かおうかと思ってるの。
ゴウセルの服がそのままじゃ可哀想でしょう？」

……確かにゴウセルの今の服は囚人服のままだ。
だからヤツの着替えを済ませようとしてるんだろう。

つか、〈豚の帽子〉亭って………

何？今リオネスに王女さんいるの？