彼女の為なら【七つの大罪】part8 (ページ34)

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彼と酒場ページ34

キングに誘われ、エスカノールと共に夜の宴会(パーティ)前に酒場へと向かった。

そこでキングはお酒の力を借りて俺との溝を埋めたかったようだけど、その前にキングが潰れちゃったんだ。

今は向かいの席で気持ち良さそうに突っ伏して眠ってるよ。

ﾋﾟｺﾋﾟｺと背中に生えた小さな羽が動いて、幸せそうに眠ってる。
いいなぁ、俺もあんな風に眠ってみたい。

「それにしても…Aさんはどうしてあんな態度を取ってしまうんでしょうね？」

キングが眠っちゃって、一通り苦笑いを浮かべていたエスカノールが、ふと思い出したかのように俺に尋ねた。

思い起こすのは先程の彼女。
リラの後ろに隠れて、こちらを怯えた瞳で睨むように見つめるA。

前もそうだったけれど、Aは俺に対して随分と当たりが強くてね。酷いと髪の毛(プラチナソード)で刺されたりした事もあったよ。

……あ、その時は鎧を着ていたから俺にダメージは無かったけれど。

最近ではようやく〈七つの大罪〉を受け入れて
団員達と仲良くし始めたと言うのに。

俺に対してだけは冷たいのは変わらない。

……それもそうだよね。

だって俺、Aに酷い事しちゃったんだもん。

「…エスカノールは知らないんだっけ？
俺、Aの記憶を書き換えて小さな家の中に幽閉してたんだよ」

「えぇぇぇえっ！？そ、そんな事してたんですかゴウセルくんっ？！」

そう言えば、と思って俺はそう話してみると
案の定エスカノールは大袈裟な声を上げ、周りでお酒を楽しんでいたお客さんの何人かの視線が刺さる。

やっぱり酷い事だよね。
Aが大切にしていた記憶を勝手に消して、書き換えて。彼女を〝リラ〟にして。
その上で『彼女の為だ』なんて言うんだもん。

Aからすれば『ふざけんな』って話だよね。
実際、言われたし。

……でも、あの時の俺はそんな事わからなかったから。

ただ、悲しそうな顔のAを見たくなくて。
どうにかして、その顔をやめさせたくて。

その原因を考えたら、あの時の俺はああするしか思いつかなかったんだ。

どちらにしろ、Aにとって最低な事をした事に変わりはないけれど。