彼女の為なら【七つの大罪】part8 (ページ20)

今日:20 hit、昨日:7 hit、合計:15,482 hit

彼女の妨害ページ20

〝消えゆく彼岸(ロストワールド)〟

記憶がケツから消えていくトンデモ術。
ディアンヌに掛けたのもコレだろうな。

ソレを今、コイツは自分に掛けようとしてる。
自分で自分の記憶を消そうと。

「…」

僕はそっとヤツから距離を置いた。

勿論、何にもしない。
当たり前だ。コイツが記憶を消した所で僕には何の影響も無いんだから。

あー…でも、僕の頭の中にはコイツの記憶残ったままだよな……ならついでに僕のこの記憶も消してもらうか？

……いや、やめとこう。
コイツに頼んだら何処まで消すかわからないし、何を植え付けるかもわからない。

『魔女の魔導書(ウィッチ・ブック)』は……ああ、今はリラの所か。

どっかに載ってなかったかな、一部の記憶を消す術とか……

「＿＿＿だっ！！！」

そんな事を呑気に考えながら、ゴウセルが記憶を消そうとするのを止めずにいると、ふと大きな声と共にこちらに猛スピードで走って来る女の子の姿が見え、僕は思わず眉を顰めた。

その子は勢いを付けてジャンプすると、そのまま両足をゴウセルに向ける。

そうして渾身の蹴りをゴウセルに入れると
憤慨した顔で叫んだ。

「めーーーーーーっっ！！！！！」

ゴウセルを止めに入ったのはディアンヌだった。

ただ、マーリンから何か貰ったのか、その時のサイズは人間サイズ。

だが小さくなってもディアンヌの武力は衰えない。
その証拠に彼女に蹴られたゴウセルは大分離れた所まで飛ばされてしまう。

まぁ、人形だし頑丈だから、ヤツもヤツでそのまま猫のようにくるりと回って着地する。

そうしてすぐ後ろの城の壁に手を付いて、淡々と告げた。

「何をする、ディアンヌ」

「ゴウセル…キミは今ボクにかけたものと同じ技を自分に………自分で自分の記憶を消そうとしたね！？

それって…何かを思い出しかけているってことじゃないの？」

「…………発生したノイズを消去しようとしていただけだ」

「それがもしキミの心……だったら？」

「…」

「俺に心は存在しない」

…相変わらずお節介な彼女だ。
それに妙な事いいやがって。

このノイズが…アイツの心？どういう事だ？

つーかなんかディアンヌのあの口調…なんか知ってるくさいし。

…どちらにしろ、聞き捨てならないよなぁ。

「…悪いな、ディアンヌ」

ゴウセルとの話に夢中になってる内に、僕は髪の毛を地面に突き刺すと、ディアンヌの足元で突き出し、そのまま彼女の体を拘束した。