彼女の為なら【七つの大罪】part8 (ページ15)

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彼女の知りたい事ページ15

「とにかく、ゴウセルに心は無い。
今までもこれからも、ゴウセルはただの人形のゴウセルだ。……でないと困る」

「それってどういう…！」

「ありえない話ではない……」

とりあえずこれ以上話しても話は平行線を辿ると思った。
自分から喧嘩吹っかけといて、だけど。

だから早々に話を打ち切ろうとしたのに、途中でマーリンが口を挟んだ。

「あン…？」

「おそらく女神族に伝わる刻還りの術だ」

「『魔女の魔導書(ウィッチ・ブック)』に載ってる時戻しの術と同じようなものかしら…？」

「ほう…？魔女族にも時を戻す術はあるのか」

「リラ、あんま余計な事言うとこの女に魔女の呪文全部持ってかれるよ」

マーリンがリラの話に興味を持ち始めたが、とりあえず話を戻させて、話の詳細を教えてもらった。

「それにしても失くした心とは、一体どういうことでしょう…？」

「国王の予兆によれば……そこに映ったゴウセルには〝かつて〟の感情が灯っていたそうだ」

「え…？それってまさか…」

「ああ、かつてのゴウセルには心が存在していた…ということになるな」

「はァ…？」

「！！」

…何言ってんだ、この女。

ゴウセルには心が存在していた…？そんな馬鹿な。

彼女の話に僕は思わず呆れてしまう。

だって、人形に心とか。笑える。
つまりゴウセルはただのお人形じゃなく、心を持ったお人形だったってワケ？

そんなの、人間と変わらないじゃん。
ただ、身体がちょっと丈夫なだけの人間じゃん。

「つーか、だとしたら今のゴウセルは何なんだ？
かつて(・・・)心が存在していた、とか言ってたが…じゃあ、今のゴウセルは心が完全に無いってのか？」

「それは説明し兼ねるな…何せ、心は実に繊細で奥深く、それでいて……未知だ。
心の内は本人にしかわからないのだから
それはゴウセルにしかわからない」

「言っとくケド、心の内って本人もワケわかんない事あるんだからな？ゴウセルにしかわからないとか言ってるケド、実際ゴウセルだってわかってなさそうじゃねーか」

「ふむ…ゴウセルの話だと言うのに、やけに食い付いて来るな。何がそこまで気になるんだ？

お前が知りたい事は何だ？」

「っ…」

…とぼけてんのか、コイツ。

不敵な笑みを浮かべながら、まるで実験動物(モルモット)を見るような目で僕を見遣る。

なんか反応を楽しまれているようでムカついた。

…別に、知りたい事とかねーし。

アイツの知りたい事なんて。