彼女の為なら【七つの大罪】part8 (ページ14)

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彼女とゴウセルの記憶ページ14

「ありえない。消去された記憶が戻ることはない」

案の定、ゴウセルはそう言い切った。

現に目の前のディアンヌは記憶が戻ったってのにさ。

まぁ、でも確かにゴウセルの手によって記憶が消されたのに、どうして戻ったのかは疑問だけど。

僕の〝白銀の剣(プラチナソード)〟みたいにヤツの魔力を無効化出来る力なんて、武力の巨人族が持ってるとは思えないけれど……

「それは違うよゴウセル…」

ディアンヌは首を横に振った。

そうしておもむろに立ち上がりながら、神妙な面持ちで続けた。

「心に深く刻まれた大切な記憶はたとえ忘れたり靄に隠れても、絶対に消えないんだよ。

そう、キミの生みの親が言ってた。
だからボクは三千年前の彼とキミとの約束を果たす」

「…？」

……え？三千年前？

それにゴウセルの生みの親、って……どゆこと？

真剣な話かと思えば急にちんぷんかんぷんな事言い出したものだから、僕は早々に話について行けなくなってしまう。

ゴウセルは相変わらずの無の表情で、ディアンヌを見上げていた。

「ゴウセル、一緒にキミが失くした心を取り戻そう！！！」

「俺が…失くした心……？」

ディアンヌはゴウセルに手を差し出し、強い瞳でそう告げる。

その言葉は聞き捨てならず、僕は思わず眉を顰め、浮き上がってディアンヌの顔の前に立って反論した。

「おいおい、ディアンヌ。さっきの落下で頭でも打ったんじゃねーの？
コイツはただの人形だ。人形に心があるワケがない。

しかも、心を取り戻そう…？元々心があったみたいに言いやがって」

「信じられないかもしれないけれど…ゴウセルの心は確かにあったんだよ！
それにゴウセルはただの人形じゃないよ！ゴウセルの生みの親…〝ゴウセル〟が作った人形なの！」

「いや、意味わかんないんだケド？
自分で自分を作ったって言うの？」

「そ、そうじゃないけど…！
その話は話すと長くなるって言うか……」

ディアンヌはやはりちんぷんかんぷんな事を続ける。

なんだよ、〝ゴウセル〟がゴウセル作ったって。
ゴウセルの生みの親が〝ゴウセル〟なの？わけわからん。

しかも心があっただなんて、おぞましい事を……

人形のクセに心があるとか生意気なんだよ。

僕でさえ心の何かが欠けてるって言うのにさ。