△リボンが52こ▽ ページ6
「それよりまなべ、お洋服ソレしか無いの？」
意外な事実に真名部が驚いていると、不意にAはそう言って真名部の着ている制服を指し示した。
学ランの上着は今は着ていないので肌着にシャツ1枚だけだが、ズボンは学ランとセットのこれ1つのみ。
勿論、真名部はこれ以外に服を持ってなどいない。
それもそうだろう。誘拐された時はこの制服を着ていたのだから。
部活に所属していないので、換えの服も無いし
服を変えに行った帰りでも無いので、これのみである。
「ええ……そうですが」
置かれた状況では考えられないようなチグハグな質問に真名部はやや眉を顰めながらも、彼女の質問に答える。
するとAは「そーなんだ！」とわざとなのか本気なのか、大袈裟な反応を返してまじまじと真名部の姿を見つめた。
自分の姿を見られるのがなんだか気恥ずかしくて、真名部はそっと彼女から視線をそらす。
見られている所がむず痒く感じたが、真名部はなるべく微動だにせず、ただ彼女の視線に耐えた。
「……やっぱり、お着替えって欲しい？」
「え……えぇ、まぁ……何日も同じ服を着ているのは不快ですし……」
「そーなんだぁ……やっぱり私の服、着る？」
「い、いえ、遠慮しておきます…！どうかお気遣いせず……」
彼女は再び自分の服を指差し、真名部は首を横に振った。
服については気遣わないよう言っておいたが、それでも彼女は気になるようだ。
少しの間「うーーん……」と唸って、何やら考えているような素振りを見せたが、やがてﾊﾟｯと顔を上げると、こんな事を提案した。
「じゃあじゃあ！明日一緒にまなべの服買いに行こーよ！」
「……………はい？」
真名部は自分の耳を疑った。
ただひたすら瞬きを繰り返しながら、彼女の発言を頭の中で繰り返す。
自分の為の服を…買いに行く？
つまり、外に出るという事？
警察が来るまでずっと此処に閉じ込められたままだと思っていた真名部にとっては、思ってもみない突然の提案であり。
また、彼女から逃げ出す絶好のチャンスでもあった。
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＊IJu＊(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜！ (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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