△リボンが90こ▽ ページ44
そんな事になっているとは露知らず、Aの家で真名部はAに文字を教えていた。
服と一緒に買った計算ドリルを開き
Aが選んだ可愛らしいシャーペンを持たせて、真名部は彼女の横でまるで先生のように教えてやった。
彼女の計算能力はハッキリ言うと小学生以下だった。
足し算すらまともに出来ず、1＋1のような簡単な問題も両手の指を使わないと解けないレベル。
そんなのだから2桁同士の計算なんて出来るハズもなく、Aは「指が足りない！」と言って真名部の指も使って解こうとしていた。
だからまずは1桁の計算をさせ、数字に慣れさせようと試みる。
両手の指を使いながら苦戦するAを横で眺めながら、真名部はこっそり大きな溜息を吐いた。
「(学校に行ってないとこんな簡単な問題も解けなくなってしまうんですね……)」
彼女は学校に行った事が無いと言っていた。
金銭面な関係か、ただ単に通わせるのが面倒だったか、理由は定かではない。
しかも家でもまともに勉強を教えていないから
こんな事になってしまっている。
まだこの先に掛け算、割り算とより複雑な計算が待っているというのに……
「んーー……？んー………はーち……きゅー……9！
答えは9！そうだよね、まなべ！」
「いちいち聞かないで下さい…あとでまとめて丸つけしますから」
計算方法は教えてやり、Aなりに指を使って解いているのだが、答えを導き出すといちいち真名部に尋ねる彼女に真名部は溜息混じりにそう言った。
そこで「はぁい！」と幼稚園児のようにハキハキと返事を返すが、次の問題の答えも導いたらきっと同じように聞いてくるだろう。
「ねーえ、まなべ」
次の問題に取り掛かるAだったが、ふと彼女は口を開いた。
真名部はわからない所でもあるのかと思い「どうしましたか？」とドリルを覗き込んだが、Aはじっと真名部を見つめたまま続けた。
「まなべは今、楽しい？」
「………へっ？」
「まなべは今、楽しい？幸せ？」
質問の意図がわからなかった。
唐突の問い掛けに真名部は目が点になった後、訝しげに彼女を見遣る。
表情から感情を読み通ろうとしたが、そういう時に限って彼女の口元に笑顔は無く、ｷｮﾄﾝとした顔で真名部を見ていた。
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＊IJu＊(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜！ (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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