△リボンが75こ▽ ページ29
そこから更にゆっくりとまたAを椅子に座らせて、靴を脱がせると真名部は一気に脱力し、大きな溜息を吐いた。
彼女から離れて少し時間が経ったと言うのに、まだ心臓が煩い。
胸に手を当てなくてもﾄﾞｸﾄﾞｸと鼓動が脈打つ音が聞こえ、真名部は大いに狼狽えた。
思えば、あんなに彼女と接近したのは初めてだった。
今までも手を握られたり、頭を撫でられたりとした事はあったが、顔のすぐ横に顔が来る程くっついたのは初めてだった。
その時の彼女の肌の感触を思い出して、また真名部の耳が真っ赤に染まる。
圧倒的柔らかさ。そこに含まれる人の温もり。
咄嗟に掴んだ彼女の肩は華奢で、力の無い真名部でも少し力を入れてしまえば壊れてしまいそうな程の脆さと儚さを持ち合わせていた。
「(お、女の人ってあんなに柔らかいんですね……)」
自分の掌を見下ろしながら、真名部は考える。
暫くこの感触を真名部は忘れられなかった。
「…？どうしたの、じんくん？」
「ぎゃっ？！！」
ふと、Aに背後から声を掛けられ、真名部は思わず声を上げた。
途端にまた周りから奇異な目で見られ、真名部は慌てて帽子を目深まで被ると、振り返ってAを見遣る。
Aは先程の靴を棚に戻した後で、驚いたような顔をして「ビックリしたー…」と呟いたが
真名部と目が合うとすぐに笑顔になって「他の見てもいい？」と首を傾げた。
「そっちにあった靴もね、ママのみたいでカッコイイ靴あったんだよ！そっちもシチャクしてみたい！」
「…またヒール高い靴じゃないでしょうね？」
「高くないよ！……多分。
でも真っ赤でママのみたいでカッコイイの！」
「……」
彼女はどうしても母親が持っているような高いヒールの靴が欲しいようだ。
真名部は思わず彼女の目の前で溜息を吐いてしまうと
途端にAは眉を下げて「やっぱりダメ？」と真名部の顔を覗き込む。
「…いえ、とりあえず見るだけ見てみましょうか」
「…！いいの？」
「ええ。もしかしたら、その…今度はちゃんと歩けるかもしれませんし」
「やったァ！」
メガネのブリッジに触れながら真名部はそう言うと、Aは嬉しそうに微笑んだ。
そうしてまた問答無用で真名部の手を掴むと、そのまま真名部を引っ張ってその目的の靴がある所へと向かって行った。
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＊IJu＊(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜！ (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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