△リボンが77こ▽ ページ31
「ああ、あと食品売場にも行きましょう。
流石にこれからもまともな食事が出来ないのはお互い辛いでしょうし。
そうですね…菓子パンとかを幾つか買って帰りましょう」
更に思い出した真名部はそう付け足した。
やはり賞味期限の切れた小さなお菓子で食い繋いで行くのは辛かった。
食パンだってもう無くなってしまったし、暫くまともな食事はほとんどとっていない。
自分の事も、そして彼女の事も考えて真名部は提案したのだ。
しかしAからは「かしぱん？」とまた首を傾げられてしまった。
それもそうだろう。
今まで母親の残り物しか食べた事がないのだから。
もしかしたら彼女は食べた事がないのかもしれない。
真名部は苦笑いを浮かべると「とりあえず、」と言葉を続けた。
「文房具売場、何処にあるかわかりますか？」
「んーとねー、えんぴつとか売ってるのは〜……1番上の階！本も一緒！」
「では、そこに向かいましょうか」
「うん！いこ、じんくん！」
「ああ、ちょっと…！」
行き先が決まり、Aは頷くと真名部の返答も聞かずにまた彼の手を掴んで引っ張った。
そのまま彼女は先程と変わらない速度で走り出す。
7cmの、しかも新品のヒールを履いていると言うのに、まるでスニーカーで走っているようだ。
しかし3回目ともなるともう慣れた様子の真名部は黙って彼女に引っ張られて行く。
困ったような顔をしながらも、何処か楽しそうに笑いながら。
−−−
文具屋でノートと可愛らしいシャーペンを。
本屋で小学生レベルの簡単な算数と漢字のドリルを。
ついでにAが物欲しそうに眺めていた絵本を数冊購入すると、2人は次に地下の食品売り場へと向かった。
文具屋にいた時も本屋にいた時もそうだったが、地下に着いた時にも彼女は子供のように目を輝かせていた。
売場入口のカートを真名部が説明してやると、自分も乗ろうとして慌てて止められ
並べられた商品を好奇心の赴くままに見に行っては見失われ、真名部を困らせた。
最終的に(とは言ってもまだ入ったばかりだったが)真名部がリード代わりにと彼女と手を繋ぎ、カートを片手で動かしながら商品を見て回った。
「(本当にこの人は常識を知らない人なんですね……
まさか商品をその場で食べようとするなんて)」
商品を見て回りながら、真名部は思い出して思わず溜息を吐く。
そんな彼女は隣でｷｮﾛｷｮﾛと辺りを忙しなく見渡し、今にも飛び出して行ってしまいそうだ。
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＊IJu＊(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜！ (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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