○いい天気の日に○ ページ42
「
それから数日後の事だった。
ゴウセルの呼び方はもうこれで慣れ始めてしまった頃。
その日はとても天気が良くて、ぽかぽかと暖かかった。
だから私はゴウセルと一緒に屋根の上まで登って、一緒に本を読んでいた。
物語が中盤に差し掛かった所で私のゴウセルに声を掛ける。
声を発したのは実に2日振りだった。
「どうした、A？」
ゴウセルは読んでいた本に栞を挟みながら、私の方に視線を落とし首を傾げる。
私は空を見上げ、目を細め、少しの間ぼんやりする。
晴天の空の上、丁度小鳥が飛んでった。
すぐに見えなくなると、私はゴウセルに尋ねた。
「明日、ルーデン来るかな」
「…」
するとゴウセルは少しの間、黙り込んでしまった。
当たり前だよね。だってわからないもの。
ゴウセルは人の心は読めるけれど、人の未来は見えないもの。
「…どうだろうな」
「ゴーセルはどう思う？」
「そう言われてもな。俺は心は読めるが、未来を予知する事は出来ない」
「ふふっ、テキトーに答えても良かったのに。真面目なのね」
あんまりにも真面目だから思わず笑ってしまったら
ゴウセルは「適当でも良かったのか？」だなんて。
それがまた面白くて私はｸｽｸｽまた笑う。
でもすぐに私は笑うのを止めた。
そっと顔を上げて、再び空を見上げる。
今日は本当にいい天気だ。
こんな日は湖まで出掛けて日が沈むまで遊びたい。
最近はあたたかくなって来たし、春はもうすぐそこ。
あと少し待てば、ルーデンは来てくれるのかな。
あと何日したら、来てくれるかな。
あと何日崩れれば、ルーデンは来てくれるかな。
「…
暫くゴウセルと一緒に空を見ていたけれど、不意に私は呟いた。
そうしてゴウセルの方を見ると、ゴウセルも私の方を見ていた。
ﾊﾟﾁﾘ、黄金色の綺麗な瞳と目が合う。
そんな彼に向けて、私は微笑んだ。
「ねぇ、ゴーセル。
お花がいっぱい咲いてる所…行こ？」
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＊IJu＊(プロフ) - シーナさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです〜( ´ ▽ ` ) (2020年5月27日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
シーナ - 最初から読みました！スゴく綺麗で切ないお話に涙腺が崩壊しました………！ (2020年5月26日 14時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
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