○苦しいの○ ページ36
「＿＿＿Aｯ！！」
ふと、聞き馴染みのある声がした。
私は薄目で声のした方を見ると、いつの間にかゴウセルが帰って来ていた。
ゴウセルは慌てた様子で私に駆け寄ると、私を抱き起こしてくれた。
何度か声を掛けられたので返事をするけれど、なんて言ってたかはよく覚えてない。
ただ、この時とても安心したのは覚えてる。
「ご………ぉ、せ…る……？」
か細い声でゴウセルを呼ぶと、ゴウセルは返事の代わりに私の手を握ってくれた。
ゴウセルのひんやりした手。
握り返す事は出来ないけど、でもとても気持ち良くて、少しだけ気分がよくなった気がした。
良かった…ゴウセル、帰って来た……
帰って来て、くれた……
「ご、せる……く、るしっ……のっ……」
「見ればわかる。呼吸も浅く、何より心拍数が異常だ」
「どう、すれば…と、ま…る…？」
「それは……」
この苦しいの、早く止めたくて。
どうすれば止められるのかわからなくて。
ゴウセルに聞いてみるけれど、ゴウセルもわからないみたい。
珍しく狼狽えているような顔をするゴウセル。
何だか困らせちゃったみたい。
私は「そっか」と無理に笑うと、薄く開いていた目を閉じる。
ああ…もしかしたら私、死ぬのかも。
このまま死んでしまうのかもしれない。
だって私の病気はそういう病気だから。
迎えに来たんじゃないかな、�犹狄性瓩�。
「わ、私……し、ぬ…死ぬ、のか…な？」
「大丈夫だ、Aは死なない。死なせない」
「無理、でしょ…？ご、せる……だって、そういう、の……つ、つかえ…ないっ……もん……」
弱気な事を言う私に、ゴウセルは必死な声でそう言った。
少し嬉しかったけれど、でも同時に酷く残酷に聞こえた。
だって、こんなに醜い姿なのに…まだゴウセルは私に生きろって。死なせないって。
わかってる。そんなつもりで言ってるワケじゃないのは。
優しいゴウセルが私を苦しめるはずがない。
ゴウセルはただ、私に生きてほしいんだよね。
まだ、私と一緒にいたいだけだよね。
私だってゴウセルと一緒にいたい。
まだやりたい事だってあるし、言いたい事だってある。
会いたい人だって。
でも、でも、やっぱり、私。
私だって。
「…頼むから、そんな弱気な事を言わないでくれ」
何にも出来ないゴウセルは、ただただ私の手を握り締めて眉を歪める。
私は暫くの間、胸の痛みに苦しみながら
やがて、深い眠りへと堕ちて行った。
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＊IJu＊(プロフ) - シーナさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです〜( ´ ▽ ` ) (2020年5月27日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
シーナ - 最初から読みました！スゴく綺麗で切ないお話に涙腺が崩壊しました………！ (2020年5月26日 14時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
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