○抱き締めて○ ページ15
「ご………せる……？」
ゴウセルの不思議な行動に、思わず泣いてるのも忘れてゴウセルを見つめる。
するとゴウセルも私の目を真っ直ぐ見つめた。
ゴウセルの瞳はとても綺麗な黄金色。
しかも睫毛が長くって、まるで女の子みたい。
そんなゴウセルが優しく、まるでお母さんのように言う。
「話なら、俺が聞いてやろう」
「……えっ……？」
「そばにいて欲しいのなら、ずっと此処にいてやろう」
最初は本の一文をただ言っているだけかと思った。
時々ゴウセルは本の中の登場人物になりきっている事があったから。
「遊び相手が欲しいのなら、俺が一緒に遊んでやろう。
一緒に本が読みたいのなら、喜んで読み聞かせてやろう」
あんなに酷い言葉を言ったのに。
あんなにゴウセルに当たっちゃったのに。
そんな風に言ってくれるとは、思わなかったから。
「何かして欲しい事があれば言ってみろ。
何処か行きたい所があるなら言ってみろ。
俺はお前の『親友』だ。
Aが望むなら、何でもしよう」
「………ごう……せる………」
最後にゴウセルはそう言うと、そっと私から顔を離した。
再び、ゴウセルと目が合う。
ゴウセルは微かに微笑んだ気がした。
ゴウセルの言葉にビックリしちゃって涙は止まったが、今度は別の涙が流れそうになった。
でもゴウセルは私が泣くのが嫌みたいだから。
頑張って笑顔を作って、笑って見せた。
「…………ゴウセルは……本当に、面白い、ね…」
「……？ それは褒めているのか？」
「…どう、なんだろ……まぁ、貶してはない、かな」
ちょっと照れくさくて、思わず「えへへ」と笑って誤魔化す。
ゴウセルは首を傾げて不思議そうに私を見遣る。
そんな彼を見たら、ゴウセルがたまに私に甘える理由がわかった気がした。
「…ゴウセル、私を抱き締めて」
普段は言わないような事を言ってみる。
いつもなら、わざわざこんな事言わないから。
当然ゴウセルはまた不思議そうに首を傾げた。
「抱き締める…？何故わざわざ頼むんだ？」
「何でもやるって言ったでしょ、さっき」
「…」
私がそう言うと、ゴウセルはﾊﾟﾁﾊﾟﾁと瞬きをした後にそっと私を抱き締めてくれた。
…やっぱりゴウセルの腕の中は安心する。
人よりちょっと体温が冷たいけれど、それもまた心地良い。
暫くはその中で落ち着いていた私だったけれど
不意に、込み上げて来るモノがあって私は目を伏せた。
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＊IJu＊(プロフ) - シーナさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです〜( ´ ▽ ` ) (2020年5月27日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
シーナ - 最初から読みました！スゴく綺麗で切ないお話に涙腺が崩壊しました………！ (2020年5月26日 14時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
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