◆悪者は思い耽る ページ50
「…………そんな顔するンなら、最初からアイツほっぽったりしないでよ」
長い沈黙の後、小鳥遊は俺の胸倉を離してそう呟いた。
ｸﾞｽﾞｸﾞｽﾞと鼻を啜りながら落ちたジャージを拾うと
砂埃を払ってから俺の顔に被せられた。
……そんなに酷いか、今の俺の顔。
俺も人の事は言えないらしい。
「…帰りたい場所があったんだ。
元々は無理矢理連れて来たようなモンだし、仕方ないだろ」
「でも！だからってそのまま放置するのは酷いだろ！
せめて交番に届けるとかさ！」
「…最後にちょっと意地悪したくなってな」
「最ッ低」
冗談半分で言ってみたら案の定、軽蔑された。
そうして小鳥遊はﾂｶﾂｶとそのまま潜水艦の方へ、大股で歩いて行った。
頭に被っていたジャージを肩にかけて、1つ息を吐く。
…相変わらず品のねー女。
「(まぁ、確かにサイテーだよな、俺)」
俺もゆっくり潜水艦の方へ向かいながら、そんな事を考えてみる。
そりゃ、エイリア石のおかげで普通の人間らしく暮らしてるとはいえ、元は病人だ。
あの石が無くなったらどうなるのかなんて、ちょっと考えれば赤子にだって簡単にわかる。
そんな彼女を見知らぬ土地に逃がしたんだ。
外の世界をほとんど見た事ない彼女を。
でもああでもしないと、無垢なアイツは俺達から離れないと思った。
俺達がやっている事は、普通の人から見ればあまり良いとは言えないだろう。
そんな中ではアイツは明らかに異物だ。
髪は真っ黒なクセに中身が真っ白なんだもんな。
白は色に染まりやすい。
赤を混ぜれば赤色に。青を混ぜれば青色に。
無垢は善悪の区別がついていない。
何にも知らない
…なんなんだろう、俺は。
一体、何の為に彼女を入れたんだっけ。
最初はあの場面を見られちまったし、単純に駒が欲しかった。
脆弱な駒だったけど、意外とついて来る根性はあるから、育てればその内使えると思って。
ああ、でも…何故だろう。
いつしかアイツが純粋にサッカーを楽しんでる所を見ていて、実際に試合に出した時の事を想像したら。
佐久間と源田の事を知ったと思ったら。
ソレでアイツがどんな顔をするのか想像したら。
…本当ならもう彼女はチームとして十分闘えるぐらいに強くなった。
でも俺が頑なに、彼女をチームとして認めなかった。
認めたくなかった。
認めたらダメだと思った。
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＊IJu＊(プロフ) - アインツバル(家のパソコン)さん» コメントありがとうございます〜！僕にはもったいない嬉しいお言葉…(´；ω；`)ノロノロ更新ですが、これからも頑張ります〜！ (2019年12月8日 15時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル(家のパソコン) - わぁぁぁ、続編本当におめでとうございます！もう文章が光り輝いて見えるレベルですね……これからも作者様のペースで頑張って下さい、ずっと応援してます！ (2019年12月7日 18時) (レス) id: ae0283035e (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 時雨（元．不動彩香（アヤカ））さん» コメントありがとうございます〜！嬉しいお言葉頂きました(*´∀｀)これからも更新頑張りますっ！！ (2019年12月1日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
時雨（元．不動彩香（アヤカ））(プロフ) - 続編おめでとうございます、やっぱり貴方は凄いです！最初の一ページから素敵です、更新頑張って下さい！応援してますね！！ (2019年11月30日 15時) (レス) id: b421c0e73a (このIDを非表示/違反報告)
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