◇ラプンツェルの期待 ページ37
『犯人に何か伝えたい事はありますか？』
記者の1人が泣いている2人にそう言ってマイクを向ける。
そうしたら女の人は1度ハンカチで涙を拭うのを止め
男の人も真っ直ぐ、カメラを見遣る。
『あの子を…Aを返してほしい。
あの子を無事に返してほしい』
『1日でも早く、帰って来る事を祈るばかりです…
Aの人生を無駄にはさせたくないので』
「……」
……何、これ。
なんなの、それ。
今までに感じた事のない感情が湧き上がる。
ﾌﾂﾌﾂと、まるで今まで蓋をしていた煮えた鍋のように。
でも同時に、期待してしまっている自分がいた。
まだ諦めきれていない私がいた。
私は無意識に画面に手を伸ばす。
画面の中でまだ2人は喋ってる。
�犹筬瓩砲弔い特�ってる。
返して、返して、って何度も言ってる。
可笑しいね。私は此処にいるのに。
「……私は、此処にいるよ……
お父さん……お母さん……」
あと数cmで、ガラスに触れる。
そう思った次の瞬間、
「……ッ！？」
不意に後ろから伸ばしていた手を掴まれ、私は一瞬息が詰まる。
まるで見られてはいけない所を見られた時のように。
ﾊﾞｯとすぐ後ろを振り返ると、そこにはいつの間にかフドウが立っていた。
勿論、私の手を掴んだのもフドウ。
もう片方の手にはコンビニの袋がぶら下がってるから、ちゃんと買って来てくれたんだろう。
「……帰るぞ」
低い、低い、声。
今まで聞いた中で1番低くて、怖いかも。
フドウは怒っているワケでも、イラついているワケでもなく、何も無い表情で私を見下ろしながらそう言い放った。
そうして私の返事を聞かずに、掴んだ私の手をそのまま引っ張って、来た道を戻り始めた。
遠ざかって行く、お父さんとお母さん。
2人はまだ泣いていた。
娘を、あの子を、私を返してって言っていた。
でも私はフドウの足に逆らおうとはせず
そのままフドウに引っ張られ続けた。
……お父さんとお母さんの泣いた顔、初めて見たかも。
あんな風に泣くんだ。
私の為に、あんな風に泣いてくれるんだ。
それは嬉しい。正直、とっても嬉しい。
私は忘れられてなかったんだって。
ちゃんとあの中にいたんだって。
でもそれならさ、どうして今まで
私に会いに来てくれなかったの？
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＊IJu＊(プロフ) - アインツバル(家のパソコン)さん» コメントありがとうございます〜！僕にはもったいない嬉しいお言葉…(´；ω；`)ノロノロ更新ですが、これからも頑張ります〜！ (2019年12月8日 15時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル(家のパソコン) - わぁぁぁ、続編本当におめでとうございます！もう文章が光り輝いて見えるレベルですね……これからも作者様のペースで頑張って下さい、ずっと応援してます！ (2019年12月7日 18時) (レス) id: ae0283035e (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 時雨（元．不動彩香（アヤカ））さん» コメントありがとうございます〜！嬉しいお言葉頂きました(*´∀｀)これからも更新頑張りますっ！！ (2019年12月1日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
時雨（元．不動彩香（アヤカ））(プロフ) - 続編おめでとうございます、やっぱり貴方は凄いです！最初の一ページから素敵です、更新頑張って下さい！応援してますね！！ (2019年11月30日 15時) (レス) id: b421c0e73a (このIDを非表示/違反報告)
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