△リボンが3こ▽ ページ6
真名部は震える声を絞り出すと
彼女の挙動1つ1つに警戒する。
この場合、目の前の少女が自分を誘拐した犯人だとまず考える。
何をされるかわからない以上、そうするしかないだろう。
真名部に名前を尋ねられ少女はﾆｯｺﾘと人懐っこい笑みを浮かべると、子供のように無邪気に、元気に名乗った。
「私…？私の名前はA！よろしくね！」
「……」
こんな状態でよろしくと言われても、真名部には到底よろしくと返せなかった。
それどころか、変に明るいその言動に真名部は益々彼女を疑いの眼差しで見つめる。
そんな真名部を気にもしていない様子のAと名乗った少女は、また首を傾げて真名部の顔を覗き込む。
「…アナタのお名前は？」
「あ、ああ…えぇっと……
……そんな事より、此処は……何処でしょうか？」
名前を催促するAに真名部はどうしようか考えあぐね、話をそらす事にした。
内心ﾋﾞｸﾋﾞｸしながらも真名部は尋ねると
彼女はまた人懐っこい笑顔を浮かべて、真名部の質問に答えてくれた。
「此処？此処はママの家だよ！」
「ママの……家？」
「そう！…私の家でもあるけどね」
「アナタの……家…」
……と、言うことは。
嫌な予感は的中し、再び彼は顔を蒼白させた。
一歩、また一歩彼女から距離を取る。
此処が彼女と家と言うのなら、間違いなく彼女が自分を誘拐した側の人間だ。
そうわかった途端、目の前でﾆｺﾆｺ笑う彼女の顔に影が落ちたような気がした。
今はこうして笑っているが、この後自分は何をされてしまうのだろう。
彼女の好奇心旺盛な瞳は、一体何を捉えているのか。
真名部には、目の前の少女の口端が歪んでいるように見えた。
「っ……っ…！！」
真名部は逃げ出した。
踵を返し、彼女の背中を向けて逃げ出した。
普段は知性的な彼でも本能に訴えかける警鐘には従うしかなかった。
一刻も早く此処から逃げ出さなければ。
真名部はその一心で部屋から出ようとした。
だから彼はこの時、自分のすぐ足元でコップを落としたと言う彼女の話が頭からすっかり抜けていた。
次の瞬間、彼は鋭利な物を裸足で踏みつけ
その痛みで足が縺れ、真名部は前のめりに転倒する。
Aの話は本当で、彼の足の裏にコップの破片が幾つも足に突き刺さり、血が滲む。
人生でコップの破片を踏みつけた事の無い彼にとっては、相当な痛みだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Rai - ＊IJu＊さん» イベント参加ありがとうございます〜! 実は私もその作品「 箱庭少女の孤高哀歌」も読んでました正に好きで、これからの作品ともに頑張って下さい！ (2020年8月25日 18時) (
レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - Raiさん» ありがとうございます〜！では参加させて頂きますね〜！ (2020年8月25日 18時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - ＊IJu＊さん» その他大丈夫です！後そのまま画面、ペースト、通常検索など出て来ると思います！ (2020年8月25日 17時) (レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - Raiさん» ですが、Raiさんがもしよろしければ、他にもイナGOの作品を書いているので、そちらの方でイベントに参加させて頂いても宜しいでしょうか？ (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - Raiさん» 初めまして、コメントありがとうございます！折角のお誘い感謝致しますが、この小説は内容があまり明るくない上に人を選ぶ作品だと思っておりますので、この作品での参加はお断りさせて頂きます…… (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
