【イナイレ】シッカーラプンツェル【不動明王】

◇ラプンツェルの再会 ページ8

「(今日は…何しようかな)」



2人がいなくなって、前のように1人で過ごす様になった。
でも前のように1人遊びをしても何処か虚しさを感じたり、2人の事が気になって何にも熱中出来なかったり。


だから気分転換に担当医の人に許可を貰って
病院内をうろうろ、うろうろしてみるけれど
やっぱり頭に浮かぶのは2人の事ばかり。


2人共…大丈夫、なのかな。

警察の人は時々病院内で見掛けるけれど、まだ見つかってないみたい。
院内のテレビでも2人の行方は掴めていないって報道されてるし……

あの人に酷い事とかされてないといいんだけど……


何処に行っちゃったの、サクマ…ゲンダ……

またお話、聞かせてよ……


2人がいないと、つまんないよ。



「はぁ……」



溜息を1つ吐いて、一通り病院内を歩き回った私は自分の部屋に戻る。


仕方ないから今日は大人しく本でも読んでようかな。

この間新しい本を病院内で買ったから。
今私が読んでるシリーズ物の本で、続きがとっても気になるの。

ついでに戸棚の奥に隠してるお菓子も食べちゃおっと。


そう考えたら少しだけ気分が弾んだような、そうでもないような。

微妙な気持ちのまま部屋の扉に手をかけ、横にスライドさせて扉を開いた。


その直後、私の体はまるで石にでもなったかのように硬直する。



だって私の部屋の中に、私以外の人がいたから。



特徴的な髪型。
額には赤い模様が描かれ、タンクトップに膝上ズボンの男の人。

その人はまだ私に気付いていないのか、こちらに背中を向けて何やら手に取って眺めていた。

だから多分、まだ私の存在には気付いていない。


その後ろ姿は確かに見覚えがあり
私は一瞬息をするのも忘れてその場に固まっていた。



「＿＿＿よぉ、久しぶりだな。覗き魔チャン」

「〜〜〜〜〜っ！！？」



暫く彼を眺めるだけで佇んでいたがおもむろに彼は振り返った。

私と目が合う。
ﾊﾞﾁｯと静電気にも似たものが走った。



途端に彼はあの日のようにﾆﾀﾘと笑う。笑う。



忘れもしない、あの怖い顔。

一瞬だけ、扉の隙間から見えたあの下卑た笑み。


この人は、あの時の。

サクマとゲンダを攫った、あの。

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