【イナイレ】シッカーラプンツェル【不動明王】

◇ラプンツェルの失敗 ページ19

地面に無事降りる事に成功すると、彼は振り返ってまた手招きして来た。しかも今度は睨みながら。


今度は私の番……

唾をごくりと飲み込んで、私はゆっくり窓枠に足を掛けた。


片足を掛け、窓から身を乗り出す。
そのまま下を見たら飛べなくなってしまいそうなので、私は真っ直ぐ前を向いたまま、またゆっくりと動き出した。

もう片方の足も窓枠に乗せる事に成功し、私はそのまま震えながらゆっくり、ゆっくりと立ち上がる。


時々風が吹いて来る度に喉の底から間の抜けた声が搾り出される。

エイリア石を首に掛けてなければ、きつと今頃発作を起こしてしまっているだろう。



「(このまま、飛ぶ…飛んで……着地…飛んで、着地……)」



目の前の枝を睨むように見つめながら、頭の中で何度も復唱。

イメージも頭の中で何度も行って、そうしてようやく私は意を決すると、彼と同じようにジャンプした。



「っ……？！」



………した、はずだった。


だが震えていた足は頭の指示に従うのが少し遅れたようで、もたついた私の足元はそのままｽﾞﾙｯと滑って、私の体は浮遊感に襲われた。


マズイ、マズイ、マズイ…！


このままじゃ私、背中から落ちちゃう。

枝を掴もうにももう届かず、私の腕は空を搔く。



諦めた私はとにかく、これから来る痛みに耐える為
咄嗟に目を強く瞑り、身を固めた。


どうか、どうかそこまで痛くありませんように。

骨折とか大怪我しませんように。



「………？」



きっと数秒も満たずに地面に激突するだろうと思っていた。

でもいつまで経ってもその痛みはやって来ず、それどころか落ちている感覚も無くなっていた。


私はそっと目を開けて、現状を確認してみる。


えぇっと……足は浮いてて、体も浮いて…というか支えられてて。

地面には無事降りた…いや、落ちたみたいだけど。
目の前にはあの人の顔があるし、なんかすごい睨んで来るし……



………えっ？待って、近くない？？



「ったく…見た目通り、鈍臭いヤツだな。
下に待機してて良かったぜ」

「っ……？！っ…！！？」



気付いたら私は彼にお姫様のように抱えられていて
彼は呆れたような顔をしながらそう言って、溜息を吐いた。

私は驚きのあまり声も出せず、ただ口をﾊﾟｸﾊﾟｸさせながらその人を見つめていたが
不意に彼が訝しげな顔をしたので、私は彼から目をそらした。





……びっ、くりしたぁ……

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