◇ラプンツェルの天秤 ページ15
落としかけていた顔をバッと上げ、思わず息が一瞬詰まる。
どうしてわかったんだろう。
もしかしてさっき見てた爛▲讚瓩覆里な…?
まるで私の心を見透かしたかのように言われて、私はじっとその人を見遣る。
そうしたら、その人はクスクスと笑って不意にしゃがみ込み、倒れている私と目線を合わせた。
「………どう、して」
「お前を1人にはしない。寂しい思いもさせねぇよ。
だからよォ、来るか来ないかわかんないヤツらの事なんか忘れて、俺達とタノシク過ごそうぜ?」
理由を問いかけているのに、その人はまるで小さな子に言い聞かせるような優しい声で、でも表情は何処か嘲笑っているかのように告げる。
ぐらり、ゆれる私の心。
此処に残らなきゃいけないと思っている私と
彼について行こうとする私が大きく天秤を揺さぶった。
………私は、どうすればいいの?
このまま此処に居座って、あの石を手にする機会を逃すか。
それとも、この人について行って、サクマやゲンダに会いに行くか。
目の前でゆれる紫の石に、私はゆっくり手を伸ばす。
私は……
私はっ………!
「…ま、嫌なら嫌でいーんだケド」
「…!」
あと数cm、それだけで手が届いてたはずのに。
不意に彼は石を引っ込めると、わざとらしい口調でそう言った。
そうして彼はおもむろに立ち上がると、窓の方に踵を返し、ヤケにゆったりとした足取りで向かいながら言葉を続けた。
「別に無理して来る必要はないんだぜ?
お前じゃなくても、お前みたいなヤツは他にもいるからな。これ以上は時間の無駄だろうし、そっちに行くわ」
「えっ……」
「あーあ、でも勿体ないなぁ?
折角この石、お前にあげようと思ってたのに。
それに、俺達の所に来れば毎日がタノシイ事だらけで退屈しないし、寂しい思いもしないで済んだのになァ?」
チラチラとこちらの様子を伺いながら、彼は遂に窓に跨る。
もう片方の足が向こうに行ってしまったら、彼はもう此処からいなくなっちゃう。
そうしたら…どうなるんだろう?
また明日も来るのかな?
それとも……やっぱり、もう来ないの?
この話は、無かった事になるの?
そうなったら私はきっと、今までとまた同じ日々を過ごす事になるだろう。
毎日、決まった時間に起きて、ご飯を食べて、お薬飲んで、本を読みながら、爐△凌傭瓩鯊圓帖帖
………退屈で、寂しい日々に。
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*IJu*(プロフ) - 桜吹雪さん» コメントありがとうございます〜!箱庭少女の方でもコメントありがとうです^^桜吹雪さんの好みに刺さったようで良かったです()ノロノロナメクジ更新なのでのんびり待っていてくれると嬉しいです…すみませんorz 桜吹雪さんこそ風邪など引かないように!更新頑張ります! (2019年10月30日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪(プロフ) - コメント失礼します。他作品でもコメントさせて頂いたものです。いやもう.....神様ですかっ!?()好みドンピシャです!毎朝、更新されてないかつい確認してしまいます(笑)最近は寒いので、お体に気を付けて頑張ってください!応援してます! (2019年10月29日 20時) (レス) id: 82aa4d9473 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます!一気読みする程夢中になって頂けて嬉しいです( ´ ▽ ` )影山怖いですもんね、注意してね……(他人事)これからも更新頑張ります〜! (2019年10月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - *IJu*さん» 作者様の文才や世界観に引き込まれ、つい一気読みしてしまいました!黒井ちゃん、影山には気をつけて……!!(オイ←)これからも頑張って下さい! (2019年9月27日 16時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 神田・スカーレットさん» コメントありがとうございます!真・帝国の不動くんは良いぞ……()オリオンの不動くんは真・帝国のようなトゲトゲイガイガが丸くなった感じですよね、それはそれは可愛いと思います( ˇωˇ )木の上で寝てた時笑いましたw (2019年9月17日 13時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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