【イナイレ】シッカーラプンツェル【不動明王】

◇ラプンツェルとシャワールーム ページ44

潜水艦内のシャワールームはハッキリ言ったら居心地が悪かった。

狭いし、電気付けても薄暗いし、オマケにシャワールームの外が煩いの。


シャワールームは2つ個室があって男女分けられているんだけれど、ほら、この潜水艦内って男の人が多いじゃない？

だから片方のシャワールームは何人か並んでて、しかも「早くしろ」って急かしてて煩いの。


気持ちはわかるし、女子用の個室を使ってる私が言われているワケじゃないんだけど……
なんだか自分が言われているみたいで、とてもじゃないが心が落ち着くワケがなかった。


いつもなら1時間はゆっくりシャワーを浴びていただろうに、今日は30分くらいで逃げるように終わらせちゃった。



「ふぅ……」



ようやく静かな所までやって来ると、私は一息吐いて真っ白なタオルで髪を拭う。

タオルや着替えはシャワールームに行く前にタカナシから貰ったの。
私用にってフドウから支給されたんだって。


此処ではドライヤーが使えないみたいだから、髪の毛を乾かすのは自然乾燥しかないみたい。

私、髪の毛凄く長いから乾くのに何時間掛かるんだろう……流石にﾍﾞﾁｬﾍﾞﾁｬのままサッカーはしたくないなぁ……



「……あっ、」



髪の水気を搾りながら私はそんな事を考えていると
ふと前からフドウが歩いて来ていて、彼は私と目が合うと立ち止まった。



「…よぉ、ドンクサ」



……そしてまた、私を馬鹿にする。



「ど、ドンクサって何？！絶対馬鹿にしてるでしょ！！」

「まーな」

「やっぱり…！私の名前は黒井A！ちゃんと呼んでよね！」

「ンな怒るこたねぇだろ…なんだっけ？真っ黒チビ助？」

「黒井！A！！」



フドウは更にからかうように言葉を続け、私は思わず声を荒らげた。


フドウったら酷いんだよ。
サッカーの練習してる間もずっと「鈍臭い」だとか「ノロマ」だとか「下手くそ」だとか「鈍い」だとか。

ちゃんと名前は教えたはずなのに私の名前で呼んでくれないの。


私だって名前を間違えられるぐらいならこんなに気にしない。

でもフドウの場合は明らかに悪意があるから怒るんだもん。

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