【イナイレ】シッカーラプンツェル【不動明王】

◇ラプンツェルとエイリア石 ページ13

さっきまで咳き込んで、呼吸の仕方も忘れてしまったかのように苦しんでいたのに。

彼が変な石を私に翳した途端、まるで魔法のようにその苦しみが無くなった。


それどころか、心做しか体がいつものように軽い…気がする。

いつもなら起き上がるのも若干億劫で、ゆっくりと腕を付いて起き上がっていたのに。


思わず起き上がった私はいつもよりも早く、ｽｯと起き上がる事が出来、私は自分の掌とその人が持つ石を交互に見て、目を瞬かせた。



「ははっ、半信半疑だったけど病人にも効くンだなぁ、コレ」



暫く現状が理解出来ず、呆然としていたら
不意にその人はｹﾀｹﾀと笑いながらそう言った。


半信半疑って…もしも効果が無かったら私、死んでたかもしれないのに。

この人は本当に地悪な人だ。



…でも、この石はなんだろう？

翳すだけで体が症状が良くなるだなんて、本当に魔法みたい。


そんな私の疑問が顔に出ていたのか、彼はゆらゆらと私の目の前でその石を揺らしながら続けた。



「コレな、『エイリア石』ってんだ」

「え…エイリア……せき？」

「しーっ…あんま口に出すな。誰が聞いてるのかわかんねーんだぞ」

「ご、ごめんなさい…」



謝った後でどうして私が謝らなくちゃいけないのかよくわからなかった。


だって『エイリア石』だなんて初めて聞いた名前だもん。
まぁ、あんまりお外の事知らないけれど…

気になったら復唱しちゃうじゃない。


1人でちょっとﾑｯとしていたが、更に声を潜めながら続くその人のお話に、私はだんだんと惹き付けられた。



「コレはな、簡単に言うと持ってるだけで身体能力を強化させる代物なんだ。
でもその様子じゃ、お前みたいな虚弱なヤツには別の効果もあるようだな」

「きょ、じゃく…？」

「あー…まぁ、体が弱いヤツって意味？」



「つか、ンな言葉も知らないのかよ」って馬鹿にされちゃってムカついたけれど、それ以上にその石に益々興味が出て来た。


持っているだけで身体能力を強化させる石…
なんて凄い石なんだろう。


これがあれば発作を起こしても、お薬なんていらない。

だって持ってるだけでいいんだもん。
…いいや、持ってるだけでそもそも発作なんか起きないのかも。



知れば知るほど、その石が欲しくなってしまう。

だってコレを持ってさえいれば、私はもう喘息に苦しまなくっていい。


炭酸も飲んでいいし、ホラー映画とかも好きに見れる。



普通の人のように、生きていける。

◇ラプンツェルの誘惑→←◇ラプンツェルの危機

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す