辻 38 ページ43
俺は直様その場から走り出し、“彼女”が入ったと思われる路地に入った。
そこは人が全く通らず、薄暗くて何だか不気味な場所だった。
奥へ進むと行き止まりで、そこにはやはり“彼女”がいた。
「き……霧野クン……！？」
黒いロングコートに黒いマスク。
黒に包まれたイドラは目を見開き、驚いた顔をして俺を見る。
その傍らには、1匹の小さな子猫がいた。
「……やぁ、久しぶりですねぇ、霧野クン？
どうしたんですか？こんな所に？」
イドラは驚きの表情からすぐにあのいやらしい笑みを浮かべ、首を傾げた。
俺はイドラを睨み付け、口を開いた。
「お前こそ…どうして、此処にいる？」
「小生…ですか？」
質問を返され、イドラはキョトンと目を丸くする。
そして何が可笑しいのかクスッと笑うと、しゃがんで足元に絡んでいた子猫の頭を撫でる。
「…ちょっと、薬を買いに」
「……薬？」
イドラは頷くと子猫を抱き上げ、微笑んだ。
子猫はイドラに甘えるように顔を擦り寄せる。
「ええ、団員が1人怪我をしてしまいましてね。
ちょっとした散歩がてら、痛み止めを買いに来たんです。
そしたら、この子が餓死寸前だったようなので、パンをあげたら懐かれてしまいまして」
困った様な口調でそう言うが、満更でもない表情を見せると顔を上げ、俺を見る。
「霧野クンは、どうして此処に？」
「え…？俺は……」
思わぬ質問返しに俺は少し困惑した。
正直に『お前らを監視しに来た』なんて言ったら変に思われるだろう。
或いは警戒されるかもしれない。
…と言うかまず、この事は秘密事項だったか。
「お、俺は…ちょっと、友達と買い物してて…
そしたら、お前を見かけたから、な……」
俺は咄嗟に誤魔化した。
友達と言うのはもちろん、狩屋だ。
…すまん、狩屋。
「そうですかー…
此処は色々揃ってて良いですよねぇ」
どうやら信じてくれたようで、イドラは微笑み子猫の背を撫でた。
俺は子猫が少し気になって、彼女の下に歩み寄る。
「…可愛いな、その猫」
「でしょう？
ちょっと痩せてますけど…
……抱っこ、してみます？」
「……え？」
また思わぬ展開に、俺は間抜けな声をあげた。
イドラはまたクスッと笑って、子猫を俺に差し出した。
子猫は俺を不思議そうに見つめる。
「…じゃあ、ちょっと……」
俺は子猫を抱き上げようと、手を伸ばした。
「先パイ、離れてっ！！」
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ミア(プロフ) - 分かりました！ 次に作品を作る時にでも出してもらえれば幸いです！ (2019年2月25日 7時) (
レス) id: 62a5f394e4 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - ミアさん» コメントありがとうございます！大変申し訳ありませんがこの物語にこれ以上登場人物を入れてしまうと元からｺﾞﾀｺﾞﾀしていることお話が更にｺﾞﾀｺﾞﾀしてしまうと思います…有難いお話ではありますが今回はお断りささて頂きますorz (2019年2月24日 23時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - コメント失礼します。 私、キャラを考えるのはすごく好きなんですけど、ストーリーを考えるのが苦手で代わりにこの作品に出してもらえませんか？ 設定はコメント欄に書くので、お願いします！( ＞Д＜；) (2019年2月24日 16時) (レス) id: 62a5f394e4 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 未来の光に咲く鍵の花さん» コメントありがとうございます！ 本当ですか？嬉しいです(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) 『小生』は『しょうせい』と読みます！ 分かりづらくてすみません！ (2015年3月4日 23時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
未来の光に咲く鍵の花(プロフ) - この小説の世界観…好きです！あのすいません、『小生』と書いてなんと読むのですか？ (2015年3月4日 17時) (レス) id: e1d834432f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊IJu＊ | 作成日時：2015年1月24日 11時
