イドラのサーカス 27 ページ32
「おお、それに目を付けるとは…お目が高い。
それは『ヴィーナスの涙』と呼ばれる方策でね、とても貴重なんだ」
翼が石に釘付けになっていたら、男性がその隣で頼んでもいないのに丁寧に説明を始めた。
ペラペラと『ヴィーナスの涙』について語る男性に、翼はこっそり眉を顰めながらも流していた。
「へぇ……そうなんですかー…」
彼の話に区切りがつき、翼は適当に相槌を打つと、
薄桃色の手袋をした左手をガラスケースの上に置いた。
「じゃ、この石貰いますわ」
そして彼女がそう言って微笑んだ瞬間、
ガラスケースが粉々に砕け散り、手袋諸共全て消え去った。
まるで最初から存在してはいなかったかのように、音も立てず、跡形も無く。
手袋の下からはまるで塗りつぶされたかのような真っ黒な手が露わになる。
「……え…？」
この光景を見ていた男性は終始笑顔だったのに、途端に表情が青ざめ絶句する。
そんな男性に構わずAはヒョイと石を掴むと笑みを浮かべ、男性の方に向き直った。
「こんな素敵な石を小生なんかに与えて下さり誠にありがとうございます。
本物がどうかは分かり兼ねますが、有り難く頂戴させていただきますね」
目を見開き、口をパクパクさせる彼に彼女は丁寧にお辞儀をして御礼を述べる。
頭を上げた彼女の顔は、彼女がいつも《イドラ》を演じている時の顔だった。
「なっ…な、なんだ、今の…？！
お前、な、なな何者だ？！」
目の前の非現実な現象に恐怖を感じた男性はしゃがれた声でやっと言葉を発した。
ガタガタと体を震わせ、男性はその場にへたり込んだ。
「何者、って……
……どう答えれば、良いのでしょうかねぇ？」
男性の言葉にAは首を傾げる。
そのちょっとした仕草までもが男性を震え上がらせた。
「ばっ……バケモノっ……！！」
ついに男性は恐怖から怒鳴り声をあげた。
その言葉に、Aを微かに眉を顰める。
肩に乗っていたフクロウの目つきも男性には鋭くなったように見えた。
瞬間、男性の背後から大きな物体が振り下ろされ、彼の頭に思いっきり命中した。
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ミア(プロフ) - 分かりました！ 次に作品を作る時にでも出してもらえれば幸いです！ (2019年2月25日 7時) (
レス) id: 62a5f394e4 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - ミアさん» コメントありがとうございます！大変申し訳ありませんがこの物語にこれ以上登場人物を入れてしまうと元からｺﾞﾀｺﾞﾀしていることお話が更にｺﾞﾀｺﾞﾀしてしまうと思います…有難いお話ではありますが今回はお断りささて頂きますorz (2019年2月24日 23時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - コメント失礼します。 私、キャラを考えるのはすごく好きなんですけど、ストーリーを考えるのが苦手で代わりにこの作品に出してもらえませんか？ 設定はコメント欄に書くので、お願いします！( ＞Д＜；) (2019年2月24日 16時) (レス) id: 62a5f394e4 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 未来の光に咲く鍵の花さん» コメントありがとうございます！ 本当ですか？嬉しいです(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) 『小生』は『しょうせい』と読みます！ 分かりづらくてすみません！ (2015年3月4日 23時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
未来の光に咲く鍵の花(プロフ) - この小説の世界観…好きです！あのすいません、『小生』と書いてなんと読むのですか？ (2015年3月4日 17時) (レス) id: e1d834432f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊IJu＊ | 作成日時：2015年1月24日 11時
