辻 11 ページ16
何が何だか、一瞬よくわからなかった。
目の前には確かに、俺の親友がそこにいた。
しかしそいつは今、ナイフの先端を喉元に突き付け、涙を流し、
酷く驚いた表情で、俺を見ていた。
「……っ？！
神童！！？」
我に返り、俺は慌てて神童を止めようと足を出した。
しかし、
「ダメですよ、霧野クン」
やけに落ち着いた静止の声に、俺は踏みとどまり、振り返った。
何がダメなんだ…？！
このままじゃ、あのナイフが首にっ……！！
「慌てないで、冷静に」
「れ、冷静にって、おまっ…」
「大丈夫です。
少々、此処でお待ち下さい」
そう言ってイドラは俺の肩に軽く手を置き、ナイフを構えたまま固まっている神童の元へ。
小声で話していたので内容はわからなかったが、
彼女と話して少ししたら神童はナイフを下ろし、それを彼女に託した。
……良かった…
それからも二人は話していて、暫くしたらイドラが此方を振り返って手招きしてきた。
どうやら、もう大丈夫みたいだ。
俺はいつもより少し大股で歩き、神童の目の前で止まる。
神童は不安げな表情で俺を見ていたが、
やがて彼は震える口を使って、
「霧、野……？」
と、呟いた。
それを聞いて、俺は安心した。
同時に嬉しくも感じた。
俺の名前を覚えててくれて
俺の事を忘れていなくて
良かった。
「神童…久しぶりだな……」
彼を前に色々と話したい事が沢山思い浮かんだが、出てきた言葉は何とも普通。
いざ話そうとすると何故か頭の中がゴチャゴチャして、何を話したいのかわからなくなって…
何だか、もどかしい気持ちだ。
「……2年間、ずっとお前を探してたよ。
病院が破壊されたって聞いた時はもう…心臓が止まるかと思ったぞ」
「…」
「とにかく、元気そうで良かったよ。
引っ込み思案のお前がまさかサーカス団に入ってただなんてな」
とりあえず俺はまず、神童の無事を喜んだ。
当たり前だ、何せ2年間も音信不通だったんだから。
心配にだってなるだろう。
神童はずっと不安そうに眉間に皺を寄せ、黙り込んで俺の話を聞いていた。
胸元のネックレスを、握り締めながら。
「でもさっきの演奏は凄かったな。
アコーディオンから色んな音が……」
「……もう、帰ってくれ、霧野」
静かなテント内に、神童の呟きは嫌でもよく聞こえた。
聞こえてしまった。
「…………え…？」
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ミア(プロフ) - 分かりました！ 次に作品を作る時にでも出してもらえれば幸いです！ (2019年2月25日 7時) (
レス) id: 62a5f394e4 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - ミアさん» コメントありがとうございます！大変申し訳ありませんがこの物語にこれ以上登場人物を入れてしまうと元からｺﾞﾀｺﾞﾀしていることお話が更にｺﾞﾀｺﾞﾀしてしまうと思います…有難いお話ではありますが今回はお断りささて頂きますorz (2019年2月24日 23時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - コメント失礼します。 私、キャラを考えるのはすごく好きなんですけど、ストーリーを考えるのが苦手で代わりにこの作品に出してもらえませんか？ 設定はコメント欄に書くので、お願いします！( ＞Д＜；) (2019年2月24日 16時) (レス) id: 62a5f394e4 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 未来の光に咲く鍵の花さん» コメントありがとうございます！ 本当ですか？嬉しいです(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) 『小生』は『しょうせい』と読みます！ 分かりづらくてすみません！ (2015年3月4日 23時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
未来の光に咲く鍵の花(プロフ) - この小説の世界観…好きです！あのすいません、『小生』と書いてなんと読むのですか？ (2015年3月4日 17時) (レス) id: e1d834432f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊IJu＊ | 作成日時：2015年1月24日 11時
